【要注意】肥満は脳梗塞を引き起こす原因に!予防法についても解説

日本人の肥満率をご存じでしょうか。男性は約3割、女性は約2割が肥満と言われています。

 

肥満は単純に外観の問題だけでなくカラダの内側にも影響し、脳梗塞の原因になると言われています。

 

脳梗塞は脳の血管が詰まってしまうことで、脳細胞が死んでしまう病気です。そのため一度病気になってしまったら、死んでしまった細胞は戻らないため回復には限界があり、予防することが重要です。

 

今回は肥満と脳梗塞の関係について医学文献をもとに解説しながら、両者を予防するための方法についても解説していきます。

 

肥満と脳梗塞の関係

肥満と脳梗塞は深い関係がありますが、まずは肥満とはどういった状態なのかをみていきましょう。

そもそも肥満とは?

横腹をつまむ

「肥満」と言っても、体重が重いだけが肥満というわけではありません。

 

正確な定義は、「脂肪が過剰に蓄積した状態で、体格指数(Body Mass Index:BMI)で25以上のもの」とされています。

 

BMIは以下の計算式で求めることができます。

BMIの求め方

BMI(Body Mass Index)= 体重(kg) ÷[身長(m)×身長(m)]

 

BMIは男性も女性も標準とされる数値は22.0になります。

 

この数値は統計的にみると、肥満との関連性が強い糖尿病や高血圧、脂質異常症になりにくい値だとされています。

(参考)肥満と健康 e-ヘルスネット 

 

肥満の分類は以下の通りです。

肥満判定
BMI(kg/㎡)
低体重(やせ) 18.5未満
普通体重 18.5-25.0未満
肥満(Ⅰ) 25.0-30.0未満
肥満(Ⅱ) 30.0-35.0未満
肥満(Ⅲ) 35.0-40.0未満
肥満(Ⅳ) 40.0以上

 

肥満の人は脳梗塞になりやすい

頭を抱える男性

 

国立がん研究センターの報告によると、「日本人は肥満であるほど脳梗塞になりやすい傾向がある」と、研究(コホート)の結果から明らかにしています。

 

これは40~69歳の男女9万人の方を20年間調査した結果です。

 

脳梗塞は他にも、脳出血やクモ膜下出血の2つと合わせて「脳卒中」と呼ばれており、そのなかでも日本人が発症する脳卒中の過半数は脳梗塞です。

 

脳梗塞にもいくつか種類があります。

 

脳梗塞の種類

  • アテローム血栓性脳梗塞
  • ラクナ梗塞
  • 心原性脳塞栓症

 

このなかで、BMIが30を超える「肥満Ⅱ」以上だと男性では「心原性脳塞栓症」のリスクが2倍以上となり、女性はアテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞、心原性脳塞栓症の発症リスクが1.7~1.9倍高くなっています。

 

脳梗塞についてはこちらの記事もご覧ください。

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メタボリックシンドロームと脳梗塞

メタボリックシンドローム

肥満と関係が深いのが「メタボリックシンドローム」です。

 

メタボリックシンドロームは以下のように定義されています。

「内臓肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさることにより、心臓病や脳卒中などになりやすい病態」

(参考)e-ヘルスネット メタボリックシンドローム(メタボ)とは?

 

メタボリックシンドロームは、日本人の死因の上位である「心疾患」や「脳卒中」とも深く関係していますが、これは動脈硬化の影響です。

 

動脈硬化についてはこちらの記事でご確認ください。

あなたの血管は大丈夫?恐ろしい動脈硬化の影響

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なお、メタボリックシンドロームの診断基準はこちら。

メタボリックシンドローム基準

 

 

自分がメタボリックシンドロームかどうか知ることは、BMIで検出できなかった"隠れ肥満"を知ることにも繋がります。

 

BMIが25未満だったとしても、男性であればウェスト周りが85cm以上、女性であればウェスト90以上で、高血圧・高血糖・脂質代謝異常のいずれか2つが組み合わさっているケースも珍しくありません。

 

どちらもカラダに脂肪が過剰に溜まった「肥満」の状態を示しているため、BMIだけでなくメタボリックシンドロームの有無も確認しておくことが大切でしょう。

 

できる対策方法

肥満やメタボリックシンドロームによる脳梗塞を予防するには、生活習慣の見直しが最も重要です。

 

生活習慣が不規則な場合、肥満だけでなくあらゆる病気の原因となってしまいます。ここでは肥満の予防についてまずは見ていきましょう。

運動不足の解消

ランニングする女性

肥満になる原因は、摂取したカロリーが消費するカロリーよりも多いことが最大の原因です。これを「単純性肥満」と言います。

 

単純性肥満の原因は、高度経済成長により仕事内容が変化しカラダを動かす機会が減り、自宅にいながらも楽しめる遊びが増えたことによる「運動不足」が1つ原因として挙げられます。遺伝的な要素もあるとされていますが、運動不足と肥満は切っても切り離せない関係です。

 

脂肪燃焼には有酸素運動が必要不可欠なため、ウォーキングやランニングといったアクティブな活動を始め、筋力トレーニングを実施することも効果的であることが報告されています。

 

仕事中、日常生活で行える運動を以下に記載します。

仕事中

  • 階段を使用する
  • 通勤は自転車を使う
  • 移動は早歩きをする
  • 重い荷物を運ぶ
  • 立っている時は踵上げをする

 

日常生活

  • 床掃除をする
  • 子供と遊ぶ
  • 洗車をする
  • 庭仕事を行う
  • 入浴後にストレッチをする
  • 歩いて買い物に行く

 

定期的な運動習慣は老化防止にも効果的ですから、スキマ時間などを利用してぜひ実践して下さい。

 

食生活の見直し

パプリカを切る女性

日本食を食べる

また食べ物の欧米化も原因となっています。欧米の食文化は日本人にとって糖尿病を引き起こしやすいという結果が、広島大学の研究で報告されています。

 

欧米食は高脂質の食べ物が多いだけでなく、糖質も多く含まれています。

欧米食の代表

  • ハンバーガー
  • フライドポテト
  • ドーナツ
  • ピザ

 

日本人は本来、低脂肪・高食物繊維食を摂取したことから、食の違いによる摂取カロリーの増加が肥満を招いている1つの要因と言えるでしょう。

 

このことから日本人には日本食、特に「青魚(サバ・イワシ)」「豆類(納豆・味噌など)」「海藻」「キノコ類」といった『ま・ご・わ・や・さ・し・い』を意識することが大切です。

 

まごわやさしい

  • ま:豆類
  • ご:ごま,ナッツ類
  • わ:わかめ(海藻類)
  • や:野菜
  • さ:魚
  • し:しいたけ(キノコ類)
  • い:いも類

 

食べる順番

食べる順番にも気を配る必要があります。

 

食べる順番を間違えて、糖質の多い食べ物を最初に摂取してしまうと体脂肪が付きやすく、血糖値の上下も大きくなりイライラや眠気の原因にもなります。

 

特に血糖値の急激な上昇は「血糖値スパイク」と呼ばれ、血管の壁を傷つけてしまい、動脈硬化の進行によって脳梗塞のリスクも上昇してしまいます。

 

理想的な食べる順番は以下の通り。

step
1
野菜・きのこ類(食物繊維)

step
2
スープ類

step
3
肉・魚(たんぱく質)

step
4
ご飯や麺(炭水化物)

 

野菜を最初に食べる理由には、食物繊維が血糖値の急激な上昇を抑えてくれる効果があるからです。

 

下の図は「ご飯を先に食べる群」「サラダを先に食べる群」を比較したグラフになります。

 

食後血糖値スパイク

(出所)金本 郁男:低Glycemic Index 食の摂取順序の違いが食後血糖プロファイルに及ぼす影響.糖尿病 53 巻 2 号(2010)より引用・一部改変

この結果からも、先にサラダを食べた方が血糖値の上昇が抑えられ、食後のインスリンの急激な分泌を抑えることができています。

 

料理の順番はコース料理の出される順番とほぼ同じですから、食事をする時はその順番を意識しておくようにしましょう。

 

食べる時間

カップめんやお菓子をコンビニで手軽に買えるようになったため、食べたいときになんでも食べられるのが現代です。

 

仕事で帰りが遅くなったら、コンビニで簡単なものを買って帰って夜遅い時間に食べる。あるいは夜食を食べたくなったら、ついつい食べてしまうのも手軽に食べ物が手に入る環境が原因かもしれません。

 

ただ肥満やメタボリックシンドロームを予防したいなら、絶対に食べてはいけない時間帯があります。それは「22時~2時」の間です。

 

22時~2時の間は「成長ホルモン」が分泌され、骨や筋肉の成長促進のほか、糖や脂肪の代謝を促し、エネルギー源の確保を行います。この時間帯に食べてしまうと脂肪が合成されてしまうからです。

 

この時間帯にはお腹に食べ物を入れないのが理想的なのです。

 

詳しくはこちらの本でも解説されていますので、興味のある方は手に取って読まれると良いでしょう。

 

食べている時間も重要で、炭水化物を食べ始めるまでに20分以上の時間をおいておくと、満腹中枢が刺激され糖質の過剰摂取を抑えられる効果があります。

 

よく噛んで食べ物がペースト状になってから飲み込むことが、太りにくい食事には重要です。時間にも気を配りながら、食事を摂取するようにしましょう。

 

 

以上まとめる

ポイント

  • 習慣的な運動
  • 食生活の見直し

この2つにしっかり取り組むことが、肥満の予防には効果的であると言えます。

 

まとめ

肥満による脳梗塞のリスクを下げるには、日ごろから生活習慣に注意を払っておくことが大切というのがご理解いただけたでしょうか。

 

BMIの数値や、メタボリックシンドロームの数値にも意識を向けながら、定期的な運動と正しい食生活を送ることが最も大切です。

 

生活習慣を整えて、肥満予防・脳梗塞のリスクを低減させるような生活を送っていきましょう。

 

 

参考文献

  1. 日本肥満学会:「肥満症診療ガイドライン2016」, 日本肥満学会, ライフサイエンス出版, 東京, 2016, p.xii
  2. Associations between Small Dense LDL, HDL Subfractions (HDL2, HDL3) and Risk of Atherosclerosis in Japanese-Americans, JOURNAL OF ATHEROSCLEROSIS AND THROMBOSIS, 19巻, 5号, pp. 444-452, 2012
  3. 今井 佐恵子:野菜から食べる「食べる順番」の効果
  4. 高柳尚貴ら:食品の摂取順序による血糖値上昇の抑制効果―健常者における、ほうれん草、鶏卵、鶏肉での検討―.東海学園大学紀要 第 22 号

 

  • この記事を書いた人

田中 宏樹

After Reha代表の田中宏樹です。医療保険、介護保険分野のそれぞれで経験を積みながら、経営・マネジメントの勉強・情報発信も行っています。認定理学療法士(脳血管・運動器)/ ドイツ筋骨格医学会認定マニュアルセラピスト / PNFアドバンスコース(3B)修了 / FBL Klein-Vogelbach 1,2a+b修了 / 成人ボバースアプローチ基礎講習会修了 / 健康経営アドバイザー /

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