【解決】筋肉痛はいいの?悪いの?「筋肉痛の正体と改善法」

ここ数年筋力トレ(筋力トレーニング)ブームが起こっていますよね。

書店には筋トレ関連の本が多く並んでおり、フィットネスジムも多くなってきました。

 

Googleトレンドのキーワード検索率で「筋トレ」と検索すると年々検索率が上昇し、筋トレについて調べている方が増えています。

筋トレには、ストレス解消やアンチエイジングなどたくさん効果・メリットがあります。

ですが筋トレをした翌日や、2日後以降に起こる痛みを経験したことがある方も多いのではないしょうか。

 

そう「筋肉痛」です。

今回は筋トレブームだからこそ、筋肉痛についてのメカニズムや対処法について解説していきます。

 

<この記事の内容>

・筋肉痛はなぜ起こる?

・筋肉痛の種類と症状

・筋肉痛への対処法

・筋肉痛を予防する方法

 

筋肉痛はなぜ起こる?

誰もが経験したことがあるであろう筋肉痛ですが、そもそも筋肉痛とはどういったもので、原因はなんでしょうか。

 

筋肉痛とは運動によって引き起こされる痛みで、今までは過度に筋肉を使用することで、筋肉が疲労し乳酸が蓄積されることが原因であるとされていました。

乳酸により筋肉が酸性に傾くことで、緊張が高まり筋肉痛が起こると考えられていたのです。

 

しかし最近の研究では、乳酸は悪ものではなく、逆に遅筋線維と呼ばれる有酸素運動に向いている筋肉でエネルギーとして利用されることがわかってきました。

 

では何が原因で筋肉痛になるのでしょうか。

それは、「筋線維」が運動によって負荷がかかることで傷つき、その修復過程で炎症が起こることが原因ではないかという説が有力となっています。

炎症が起こることで、痛みを伴う物質(ブラジキニンなど)が筋肉を包む筋膜を刺激して筋肉痛が出現すると考えられています。

 

また筋肉痛は運動だけでなく、「慢性疲労症候群」と言われる精神的なストレスや身体的なストレスが関係しているものや、「線維筋痛症」といった全身の激しい痛みが慢性化する病気でもみられます。

運動以外でも重篤な病気で出現することもあるので、その点にも注意が必要です。

筋肉痛の種類と症状

1.即発性筋肉痛

運動直後や、早いときは運動している最中にも起こる筋肉痛が「即発性筋肉痛」です。急性筋肉痛とも呼ばれています。

即発性筋肉痛は激しい運動によって筋肉に強い負荷がかかることで、乳酸が作り出されます。

 

作り出された乳酸は再度エネルギーとして利用されますが、乳酸の生成が消費を上回ることにより筋肉内に「水素イオン」が発生し筋肉内が酸性に傾くことで起こります。

(参考):厚生労働省 生活習慣予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット

 

即発性筋肉痛は、高負荷の運動により起こるとされていますが、デスクワークなどの長時間同じ姿勢で作業をするような場合にも起こることがあります。

多くの場合症状が長く出現することはなく、運動を中止する、マッサージやストレッチを行うことで改善されてきます。

 

2.遅発性筋肉痛

多くの方が「筋肉痛になった」と話されるのは、ほとんどの場合が遅発性筋肉痛です。

運動を開始してから数時間、もしくは数日たった後から筋肉に痛みが出現します。

 

この遅発性筋肉痛は「遠心性収縮」と呼ばれる筋肉の使い方をすることで起こりやすくなります。遠心性収縮とは、筋肉が引き延ばされながら力を発揮する状態で、階段の下りやスクワットで膝を曲げていく動作などがあります。

 

痛みが発生する原因としては、遠心性収縮により筋肉の繊維(筋繊維)に細かな損傷が起こることで炎症が起き、壊れた筋線維を修復しようとする際に痛みを誘発するブラジキニンやプロスタグランジンと言われる物質が生成され、筋肉を包む筋膜や周辺の組織が痛みを感知します。

痛みのピークは2~3日後で、5~7日後には消失するとされています。

 

チェック

【 筋肉痛が起こりやすい動作 】

・階段を下りる動作

・下り坂を下る動作

・スクワットで膝を曲げる動作

・ダンベルをゆっくりと下ろす動作

 

筋肉痛は年齢を重ねると痛みがでるのが遅くなるとよく言います。が、この原因についてはいまだ一定の見解は得られていません。

そもそもですが「加齢による筋肉痛の出現に時間差を認めない」とする報告もあります。

 

ただし若い人や良く運動する人と比較して加齢や運動不足の方は、毛細血管の発達が不十分となり、痛みを誘発する物質を除去するのに時間がかかることが原因ではないかとの説もあります。

 

筋肉痛への対処法

1.即発性筋肉痛への対処

即発性筋肉痛を軽減させるには、まずは運動を中止しましょう。ただし、急に運動を中止すると毛細血管への血流が減少してしまうため、クールダウンで負荷を減らしながら終了するようにしましょう。

 

またマッサージやストレッチを行い筋肉の緊張を和らげることも大切です。

 

激しい運動では、筋肉が熱を持つことがあります。この場合には氷によるアイシングや冷却スプレーを使用して筋肉を冷やしてあげましょう。

氷を使用する場合は、直接皮膚に当てないようにアイスバッグなどを用いるようにしましょう。

 

目安としては15分程度で、あまり長い時間おこなうと逆効果になるので注意しましょう。

筋肉の熱が落ち着いたら、今度はカラダを温めることで全身の血流を促進し、疲労物質を取り除くようにします。

 

2.遅発性筋肉痛への対処

遅発性筋肉痛は筋肉痛が出現するまでに数時間~数日後に見られ、痛みのピークが2~3日となります。その後徐々に痛みが軽減していくので、回復までには早くても3日はかかります。

 

遅発性筋肉痛を軽減させるのに、最もいい方法は「休息をとる」ことです。

筋繊維に微細な損傷が起こることで炎症が起こるため、筋損傷の状態を悪化させないためにも休息が必要になります。

休息期間中にどうしても筋トレを行いたい場合は、筋肉痛が出現していない部位に対して行うようにし、筋肉痛がある部分には負荷をかけないようにしましょう。

 

遅発性筋肉痛に関しては、全身を温める温熱も効果的です。暖かいお風呂に浸かることで、全身の血流が促進され栄養分の運搬や疲労物質の除去にも役立ちます。

 

筋肉痛を予防する方法

筋肉痛になる前に、筋肉痛を予防することも大切です。

ウォーミングアップをおこなう

運動前にストレッチや柔軟体操を行うことで、筋肉の柔軟性が向上したり血流が良くなります。

ウォーミングアップは筋肉痛の予防だけでなく、ケガの予防につながるので運動前におこなう習慣を身につけましょう。

 

クールダウンをおこなう

急に運動を止めることで、毛細血管への血流が減少し疲労物質を除去することが難しくなるため、クールダウンをおこない、血流の流れを止めないようにしましょう。

クールダウンは疲れていても、ウォーキングをおこなうだけでも回復が違いますから、ウォーミングアップとあわせて実施しましょう。

 

加えて、クールダウンの際にストレッチやマッサージを入れて筋肉のほぐすのも良いでしょう。

 

水分補給を怠らない

運動中に汗をかくことで、血液中の水分が不足します。水分が不足することで血液がドロドロになり循環が悪くなります。

水分は代謝にも関係するため、運動前、運動中、運動後それぞれでしっかりと補給をしましょう。

 

栄養をしっかり摂る

運動前、運動後の栄養補給も重要なポイントとなります。

運動前には筋肉のエネルギー源となる炭水化物や水分を、運動後には筋肉の疲労回復を促進するために、炭水化物、たんぱく質、ビタミンB群、ビタミンCなどを摂るといいでしょう。

 

十分な睡眠時間をとる

睡眠自体はカラダの疲労回復においては非常に大切となります。

睡眠によって分泌される成長ホルモンが、痛めた筋肉を修復する作用があります。

質のいい睡眠と十分な睡眠時間の確保(7~8時間)を心掛けましょう。

 

運動を習慣化する

筋肉痛を防ぐためには、運動習慣を身に着けることが大切です。運動習慣があることで筋線維の太さも大きくなり、毛細血管の発達も良くなることで痛みの出現を抑制することができます。

 

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まとめ

筋トレブームだからこそ知ってもらいたい「筋肉痛」の話はいかがでしたか?

筋肉痛にも種類があり、即発性筋肉痛と遅発性筋肉痛があることや、原因についてもそれぞれ異なる点がありました。

 

また痛みを軽減するには冷やす、温めるのタイミングをしっかりと理解する必要があります。

こらからも筋トレブームは続くことが予想されますので、ウォーミングアップやクールダウン、栄養や睡眠について理解を含め、筋トレで健康なカラダ作りを目指していきましょう。

 

参考文献

・Nosaka K et al:Influence of Pre-Exercise Muscle Temperature on Responses to Eccentric Exercise. June 2004Journal of athletic training 39(2):132-137

・Nosaka K et al:Effect of elbow joint angle on the magnitude of muscle damage to the elbow flexors. January 2001Medicine & Science in Sports & Exercise 33(1)22-29

・Nosaka K et al:Delayed-onset muscle soreness does not reflect the magnitude of eccentric exercise-induced muscle damage. Scand J Med Sci Sports. 2002 Dec;12(6)337-346

・川岡ら 「遅発性筋肉痛および運動に伴う筋損傷研究における文献的知見-被験者特性の違いに着目して-」川崎医療福祉学会誌 Vol.16 No.2 2006

 

  • この記事を書いた人

田中 宏樹

After Reha代表の田中宏樹です。医療保険、介護保険分野のそれぞれで経験を積みながら、経営・マネジメントの勉強・情報発信も行っています。認定理学療法士(脳血管・運動器)/ ドイツ筋骨格医学会認定マニュアルセラピスト / PNFアドバンスコース(3B)修了 / FBL Klein-Vogelbach 1,2a+b修了 / 成人ボバースアプローチ基礎講習会修了 / 健康経営EXアドバイザー /企業経営アドバイザー/作業管理士

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