どっちがいいの?「ウェルビーイング経営」と「健康経営」の共通点と相違点について解説

「健康経営」という言葉は少しずつ浸透していきているのですが、最近は『ウェルビーイング経営』という言葉も出てきています。

 

両者の違いは一体何なのでしょうか?またどちらの方がいいのでしょうか?

 

今回は健康経営とウェルビーイング経営の違いを解説し、共通点と相違点についてお伝えしていきます。

 

健康経営とは?

ハートを持つ男性

健康経営とは「従業員の健康保持・増進の取り組みが、将来的に収益性等を高める投資であるとの考えのもと、健康管理を経営的な視点で考え戦略的に実践すること」と経済産業省は定義しています。

(出典)経済産業省 「企業の『健康経営』ガイドブック改訂版第1版」

 

簡単にお伝えすると「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する経営手法」のことですが、もっとわかりやすく言えば「従業員の健康に投資をして、会社の業績向上や社会的な価値向上につなげましょう」と言い換えることができます。

 

人手不足の中小企業は少なくありませんが、こうした問題を解消するのに『健康経営』が実は一躍飼っていることが事例集でも多く報告されています。

 

ちなみに健康経営はアメリカが発祥で、日本では「特定非営利活動法人健康経営研究会」が広めてきました。現在取り組みとして有名なものには、国がスタートした「健康経営優良法人認定制度」「健康経営銘柄」があります。

 

健康経営についてはこちらでも詳しく解説しています。

オフィスでの仕事
参考【健康経営】今さら聞けない健康経営とは?目的とポイントを解説

中小企業の経営者が抱える悩みには、人手不足や売上が伸びないなどが挙げられています。こうした問題を解消するのに、『健康経営』が関係するのをご存じですか?   近頃よく耳にする「健康経営」という ...

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健康経営の具体的内容

健康経営優良法人に認定されてる会社の多くで取り組まれている事例は以下のようなものがあります。

取り組み事例

  • 朝のラジオ体操
  • 健康診断のオプション費補助
  • 産業医による面談
  • 社内・グループでの運動会
  • 毎月の従業員同士での食事会
  • ウォーキングイベントの開催
  • 予防接種費の補助 など

従業員に何らかの不幸があった際や健康診断にひっかかるスタッフが多かった、経営者自らが健康経営について知った時や働き方について考えたことをきっかけに、健康経営に取り組むケースが多く報告されています。

 

ウェルビーイング経営とは?

グーする女性

ウェルビーイング経営とは「従業員の心身の健康と幸福を追求する経営手法」のことです。

 

ウェルビーイング経営は世界保健機関(WHO)の「単に病気や虚弱のないことではなく、肉体的、精神的、社会的に良好な状態にあること」という健康の定義が、近年企業経営にも影響を与え、従業員の心身の健康と幸福を追求するウェルビーイング経営が注目されるようになりました。

 

従業員が心身ともに健康で、仕事にやりがいを感じている企業は、生産性や創造性、離職率の低下などのメリットがあるため、経営戦略の一つとして積極的に取り組むことが推奨されています。

 

ウェルビーイングの具体的内容

ウェルビーイング経営はまだ健康経営ほど周知されていませんが、健康経営の内容に加えて以下のような取り組みも行われています。

取り組み事例

  • オフィス環境の改善(照明、空調、椅子など)
  • フレックスタイム制やテレワークの導入
  • 育児や介護のサポート
  • ハラスメント対策
  • キャリアアップやスキルアップの機会の提供
  • ワークライフバランスの推奨 など

取り組み内容としては健康経営優良法人が行っているものと重なる部分が多々ありますが、オフィスレイアウトや長時間労働の改善といった「労働環境の改善」、福利厚生を充実させ、従業員とその家族のQOL(生活の質)を高める取り組みが多い傾向にあります。

 

After Rehaでサポートさせていただいてる会社では、面白い福利厚生として以下のようなものを取り入れていらっしゃいます。

  • 昼寝OK制度
  • 複業OK制度
  • LIVE&FES参加&スポーツ観戦補助制度
  • 月額1万円以内の理美容補助制度(ネイル・マツエク・ヒゲ脱毛等)
  • 書籍購入+オンラインサロン 月1万円を上限に補助
  • 会社徒歩圏内に住む従業員の家賃補助 など

(参考)株式会社 Life style inovation様

 

健康経営とウェルビーイング経営の違い

ハートと個人

ヒトへ投資と言う点からすると、人事戦略の1つと言える両者ですが、健康経営とウェルビーイング経営には見ている最終地点が異なります。

  • ウェルビーイング経営は「従業員視点(ボトムアップ)」での取り組み
  • 健康経営は「会社視点(トップダウン)」での取り組み

トップダウン的に取り組む健康経営とボトムアップ的に取り組むウェルビーイング経営では、過程は同じでも最終ゴールが異なります。

 

どちらの経営も従業員の健康や幸福度を向上させることで、企業の業績や生産性の向上につなげることになりますが、健康経営は企業の視点から従業員の健康を重視し、その結果として企業の生産性や業績を向上させることを目指します。一方、ウェルビーイング経営は従業員個々の視点からその幸福を重視し、その結果として企業全体のウェルビーイングを向上させることを目指しているのです。

 

なおどちらの取り組みの方がいいと言うわけではなく、どちらの取り組みも従業員の満足度や会社としての成長には有益な経営手法になりますので、自社の経営スタイルに合わせて行うと良いでしょう。

 

スピーディに取り組みを浸透させたい場合はトップダウンの健康経営に、ウェルビーイングの考え方を導入する方が良いかもしれません。またしっかりと従業員の意見を聞いて、協力的な関係を築きながら進めたい場合はボトムアップのウェルビーイング経営の方が良いでしょう。

 

おわりに

健康経営とウェルビーイング経営の違いがお分かりいただけましたでしょうか。

両者に違いはあれど結局は「従業員のため」「会社のため」になる取り組みですので、初めから多額の投資をしていくのではなく、できる範囲のことから長期的な視点で取り組みを行うようにしましょう。

 

  • この記事を書いた人

田中 宏樹

After Reha代表の田中宏樹です。医療保険、介護保険分野のそれぞれで経験を積みながら、経営・マネジメントの勉強・情報発信も行っています。認定理学療法士(脳血管・運動器)/ ドイツ筋骨格医学会認定マニュアルセラピスト / PNFアドバンスコース(3B)修了 / FBL Klein-Vogelbach 1,2a+b修了 / 成人ボバースアプローチ基礎講習会修了 / 健康経営EXアドバイザー /企業経営アドバイザー/作業管理士

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