事業再構築補助金の審査が有利に進む!?「健康経営」の加点について解説

お金を持つ男性

補助金を活用してビジネスを拡大させたい、立て直したい。そうした事業者にぜひ活用していただきたい補助金に「事業再構築補助金」があります。

 

事業再構築補助金は小規模事業者持続化補助金よりも補助額が大きくなるため、採択されると事業を成長させやすい反面、採択率が小規模事業者持続化補助金よりも低い傾向にあります。

 

採択されやすくするためには、事業内容だけでなく審査項目の1つである「加点項目」を申請することも重要となります。

 

今回は加点項目の1つである「健康経営優良法人認定」と事業再構築補助金について解説していきます。

 

事業再構築補助金の加点項目とは?

補助金

事業再構築補助金は「ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業等の思い切った事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すこと」が目的とされています。

 

補助金額の最大は1.5億円となっており、小規模事業者持続化補助金の最大250万円よりも補助額が大きいため、事業をその分大きく動かすことが出来ます。

 

事業再構築補助金が採択されるには以下の3つで審査されています。

審査項目

  • 基本審査項目
  • 加点項目
  • 減点項目

 

補助金の審査においては基本審査だけでなく、加点項目や減点項目があります。

 

減点項目には「複数の事業者が連携して事業に取り組む場合」「事業による利益が第三者のものになる事業に取り組む場合」などがありますが、自社のみで行う事業である場合はそれほど影響はないでしょう。

 

一方加点項目は複数の項目があり、要件を満たして加点項目を申請できると他の事業者と基本審査で同じ点数であっても、加点項目により他の事業者よりも採択されやすくなります。

 

事業再構築補助金の採択率はおおむね40~50%で推移していますので、申請した事業者のうち半分以上は採択されていません。

 

ですから加点項目が多いほど審査を有利に進めることが出来るので、事業再構築補助金を活用されたい事業主の方は申請できる加点項目がないか必ず確認すると良いでしょう。

 

 

事業再構築補助金8つの加点項目

チェックリスト

事業再構築補助金には8つの加点項目があり、その中には「従業員の働き方」についての項目もあります。

  • 大きく売上が減少しており業況が厳しい事業者に対する加点
  • 最低賃金枠申請事業者に対する加点
  • 経済産業省が行うEBPMの取組への協力に対する加点
  • パートナーシップ構築宣言を行っている事業者に対する加点
  • 事業再生を行う者(再生事業者)に対する加点
  • 特定事業者であり、中小企業者でない者に対する加点
  • サプライチェーン加点
  • 健康経営優良法人に認定された事業者に対する加点
  • 大幅な賃上げを実施する事業者に対する加点
  • 事業場内最低賃金引上げを実施する事業者に対する加点
  • ワーク・ライフ・バランス等の取組に対する加点

(参考)事業再構築補助金 公募要領 (第11回)

 

加点ごとに申請に必要な書類や条件が違うため、公募要領の方はしっかりと確認しておく必要があります。

 

加点項目は1つだけでなく、要件を満たしていれば複数の加点項目を申請することが出来ます。

 

取得が難しい項目もありますが、逆に比較的簡単に加点を取得することができる項目もあります。

 

例えば「ワークライフバランス等の取り組みに対する加点」は2つの要件があります。

  • 女性活躍推進法に基づく認定(えるぼし1段階目~3段階目又はプラチナえるぼしのいずれかの認定)を受けている者 又は従業員数100人以下であって、「女性の活躍推進データベース」に女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を公表している者

  • 次世代育成支援対策推進法(次世代法)に基づく認定(くるみん、トライくるみん又はプラチナくるみんのいずれかの認定)を受けた者又は従業員数100人以下であって、「一般事業主行動計画公表サイト(両立支援のひろば)」に次世代法に基づく一般事業主行動計画を公表している者

 

上記いずれかの項目を満たしている場合は加点を申請することが出来ますが、従業員数が100名以下の場合は前述の加点項目(女性の活躍推進データベースへの公表)が比較的取得しやすい項目となっています。

厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」

 

健康経営と事業再構築補助金

マッサージされる女性

事業再構築補助金の加点項目には健康経営優良法人に認定されていることが要件として挙げられています。

 

健康経営優良法人認定制度

地域の健康課題に即した取組や日本健康会議が進める健康増進の取組をもとに、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度

(出典)経済産業省 健康経営優良法人認定

 

健康経営は『従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること』であり、従業員に健康投資を行うことで、結果的に業績向上や株価の向上につながることが期待されています。

 

「日本再興戦略」「未来投資戦略に位置づけられた国民の健康寿命の延伸」に関する取り組みの1つにもなっています。

 

このことからも人手不足と言われる中で、事業再構築補助金は中小企業庁(経済産業省の外局)が出しているものであり、人的資本への投資を加速させたいと考えている経済産業省ですから、こうした取り組みは申請時に有利に働く可能性が高いでしょう。

 

健康経営についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。

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なお健康経営優良法人認定を加点項目にする場合、要件の中に「令和〇年度」という指定がありますので、認定された年度については注意が必要です。

 

2023年に健康経営優良法人に認定された場合は、次の2024年の認定が決まるまでの期間は事業再構築補助金の加点対象となりますが、2024年に健康経営優良法人に認定されなかった場合は、要件を満たさない可能性が高いため注意してきましょう。

 

おわりに

健康経営に対する加点やワークライフバランスに対する加点があること、さらに賃金引上げ要件などがあることから、事業再構築補助金の採択率を高めるには事業の成長性だけでなく、従業員に対する還元も含まれていると予測できます。

 

実際に事業再構築補助金の申請枠ごとの採択率は、最低賃金枠が常に高い傾向にあります(第10回は53.4%以上)。

 

こうした働きやすい環境の提供は補助金が採択されやすい要件にもなってきていますので、従業員を大切にする事業者であることをアピールできる取り組みを行えると良いですね。

 

補助金活用したいなら

アフターリハは「認定経営革新等支援機関」とコンサルティング会社と連携し、補助金申請のサポート業務も2023年9月よりスタートしております。

事業再構築補助金は認定経営革新等支援機関と事業計画を策定するといった申請要件があります。

補助金活用にご興味のある事業者様は、お気軽にお問い合わせくださいませ。

    • この記事を書いた人

    田中 宏樹

    After Reha代表の田中宏樹です。医療保険、介護保険分野のそれぞれで経験を積みながら、経営・マネジメントの勉強・情報発信も行っています。認定理学療法士(脳血管・運動器)/ ドイツ筋骨格医学会認定マニュアルセラピスト / PNFアドバンスコース(3B)修了 / FBL Klein-Vogelbach 1,2a+b修了 / 成人ボバースアプローチ基礎講習会修了 / 健康経営EXアドバイザー /企業経営アドバイザー/作業管理士

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