忙しいときでも、コーヒーだけは毎朝かかさず飲まれる方も多いのではないでしょうか。
コーヒーは世界で最も愛される飲み物の1つで、農林水産省によると日本でも1週間当たりの平均杯数は11.53杯と言われています。
これほど身近なコーヒーはカラダにとっても嬉しい効果をもたらしてくれています。
今回は、コーヒーがカラダにどういいのか?どれくらい飲んだらいいのか?悪影響はあるのか?を数多くの論文をもとに解説しています。
コーヒーの嬉しい効果
コーヒーはカラダにとって良い効果をもたらすと聞いたことはありませんか。
コーヒーの起源には諸説あるようですが、もともとアラビアの医師が薬として飲ませていたのが始まりだと言われています。
現代ではコーヒーの効果が科学的に証明されるようになっているので、以下にご紹介します。
コーヒーの効果
- 心臓病・脳卒中・呼吸器疾患の死亡リスク低下
- がんの発症・進行リスク低下
- 覚醒作用
- ダイエット効果(基礎代謝促進)
- 糖尿病予防
- 認知症予防
- リラックス効果
- 胃酸分泌促進作用
心臓病・脳卒中・呼吸器疾患の死亡リスク低下
2015年の国立がん研究センター予防研究グループによるこの研究報告により、コーヒーの健康効果が注目されるようになりました。
この死亡リスク低下には、炎症予防効果のあるカフェインと、酸化を防止するポリフェノール双方の効果が影響しています。
コーヒーに含まれるポリフェノールの「クロロゲン酸」の抗酸化作用により、血小板が固まるのを防ぐことで血管が詰まりにくくなり、脳や心臓の梗塞のリスクを低下させていると考えられます。
またカフェインには気管支を拡張する作用があるので、呼吸器症状を軽減する効果が期待できるのです。
がんの発症・進行リスク低下
がんに関する効果は、複数報告されています。
肝がんについては、コーヒーを毎日飲む人ほど肝がんの発症率が減少し、ほとんど飲まない人に比べると半減したとの報告を国立がん研究センターは報告しています。
また大腸がんには保護的作用を有しており、大腸癌のリスクを低減することが強く示されています。また進行性の大腸がんにおいても死亡リスクを下げる効果があるとの報告もあります。
覚醒アップ
コーヒーに含まれるカフェインには、覚醒作用があるため眠気覚ましや集中力を高める効果があります。
効き目が出始めるのには30日分ほどかかるため、お昼ご飯を食べるのであれば食後すぐにコーヒーを飲んで30分ほど仮眠するのがおすすめです。
昼寝からの寝起きも良くなり、午後からも頭がクリアになって生産性アップが図れるでしょう。
ダイエット効果
コーヒーに含まれるカフェインや、ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸には、抗肥満作用があると示唆されています。
カフェインの脂肪の分解と吸収を抑制する作用と、クロロゲン酸の脂肪酸代謝促進作用がダイエット効果として期待されているのです。
コーヒはだけでなく運動と組み合わせることでさらにダイエット効果が期待できることも報告されています。
(出所)Mauricio Ramírez-Maldonado,et al:Caffeine increases maximal fat oxidation during a graded exercise test: is there a diurnal variation?Ramirez-Maldonado et al. Journal of the International Society of Sports Nutrition (2021) 18:5
運動前にコーヒーを飲むことが脂肪燃焼能力をさらに高める可能性があるそうなので、ダイエット期間は、運動前にコーヒーを一杯飲むのが良いかもしれません。
糖尿病・認知症予防
国立国際医療研究センターのJPHC研究では、コーヒーを毎日3〜4杯飲む人は、飲まない人に比べて2型糖尿病のリスクが男女共に低く、特に女性の方で低い結果が得られています。
福岡県糖尿病患者データベース研究(FDR)でも類似した結果が得られています。
またコーヒーに含まれる苦味成分の一種であるフェニルインダンは、アルツハイマー型認知症のリスク要因であるアミロイドβの蓄積を防ぐ作用があります。
クロロゲン酸にも強い抗酸化作用があるため、脳の血管を傷つける活性酸素を取り除き、炎症を抑えることが示唆されているのです。
リラックス効果
コーヒーの香りにはリラックス効果があるとご存じ方も多いかもしれません。
心身ともにリラックスした状態の時に発するα波を測定した研究では、グアテマラ産のコーヒー豆が最も高い傾向にあったと報告しています。
胃酸分泌の促進
胃酸の分泌を促進する作用もコーヒーにはあり、胃酸の分泌によって消化を助けてくれます。
しかし飲むとかえってムカムカしてしまう人には、ダークロースト(深煎り)の方が胃液分泌が少なくなるので良いかもしれません。
(出所)Rubach, et al:A dark brown roast coffee blend is less effective at stimulating gastric acid secretion in healthy volunteers compared to a medium roast market blend.
お酒とは違って、コーヒーはこれだけ多くの効果が期待できるので、ぜひ飲んでもらいたい飲み物です。
なお、お酒の怖さについてはこちらで解説していますので、興味ある方はぜひご一読ください。
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コーヒーの主要成分
コーヒー1杯(コーヒー粉末10g,熱湯150ml)当たりの栄養成分は以下の通り。
メモ
- 水分98.6g
- たんぱく質0.2g
- 脂質0.3g
- 炭水化物0.7g
- 灰分0.2g
- タンニン0.25g
- カフェイン0.06g
- その他(無機質・ビタミン)
(出所)文部科学省 科学技術・学術審議会「日本食品標準成分表2015年版(七訂) 第2章 日本食品標準成分表 」
カフェインやタンニン以外にも、抗酸化物質であるポリフェノールも豊富に含まれているのでコーヒーが薬として使われていたのにも納得です。
コーヒー摂取の目安量
コーヒーの理想的な杯数と頻度は論文によって異なります。
アメリカにあるメイヨー・クリニックでは、「健康な成人にとって1日4杯は安全だろう」としており、アメリカ医師会(AMA)では2~3杯が標準であるとしています。
妊婦さんに対しては、世界保健機関(WHO)はコーヒーを1日3~4カップまでにすることを推奨しています。
子どもの場合は、カフェインの感受性が高いため、アメリカ小児学会(AAP)は子どもはカフェインを含めた刺激物の摂取を抑制すべきとしています。
カナダの「Caffeine in Food」による報告では、子どもはカフェイン摂取量を以下にするよう推奨しています。
4~6歳:1日45mg
7~9歳:1日62.5mg
10~12歳:1日85mg
*インスタントコーヒー1杯(150ml)に含まれるカフェイン量は多くて60mgが目安となっています。
まとめると
ポイント
健康な成人:1日コーヒー4杯まで
妊婦等:1日3杯まで
子ども:1日1杯弱
これぐらいに抑えた方が良いということになります。
なお、カフェインはコーヒー以外にもコーラーやエナジードリンク、緑茶にも含まれているので注意しましょう。
ここまでは論文をもとに摂取量の目安をお伝えしましたが、実際には個人差が強く影響します。
「超ストレス解消法 イライラが一瞬で消える100の科学的メソッド」によると、カフェインの感受性は人によって異なるので、同じ量摂取しても効果に違いが出るとしています。
自分のカラダがカフェインに強いのか、弱いのかは摂取してみなければわかりませんので、コーヒー4杯を上限に自分に合った量を見つけるのがよいでしょう。
無理に飲みすぎるとかえって次の項目でお伝えする悪影響が出てしまいますので、くれぐれも無理して飲まないようにしましょう。
コーヒーがカラダに及ぼす悪影響
タンニンによる鉄分吸収への影響
コーヒー成分の中にあるタンニンには鉄の吸収を阻害する作用があります。
緑茶(タンニン酸0.5g)と鉄剤を同時摂取すると、吸収を阻害されることは論文でも明らかです。
コーヒーやお茶の摂取の過剰摂取は、鉄分の吸収率を低下させてしまうため注意する必要がありますが、現在は別の見解も存在します。
鉄の吸収はカラダの中に蓄えられている鉄の程度によって左右差され、カラダの中で不足している場合(貧血)には吸収が促進されるとの報告があります。つまりタンニンと鉄が結合することによって受ける影響は、ある程度無視して良いと考えられているのです。
ただそれでも鉄分の摂取を推奨されているのであれば、摂取量には注意を払うべきでしょう。
カフェインの過剰摂取による影響
コーヒーだけなくコーラー、エナジードリンク、栄養ドリンクにもカフェインが多く含まれていますので、カフェインの過剰摂取には特に注意が必要です。
カフェインの過剰摂取による影響は以下の通り。
過剰摂取による症状
- めまい
- 心拍数の増加
- 興奮
- 不安
- 震え
- 不眠
- 下痢
- 吐き気・嘔吐
- 脱水症状
(出所)農林水産省 カフェインの過剰摂取について
カフェインは交感神経を興奮させるため、動悸を誘発する可能性が高くなります。適量飲む分は心臓病で亡くなるリスクを低下させてくれますが、過剰摂取は健康を害すると報告もあります。
またカフェインは覚醒作用が報告されている一方で過剰摂取すると、やるきホルモンである「ドーパミン」、「ノルアドレナリン」の分泌量が増加します。
ノルアドレナリンが増えると、睡眠ホルモンであるセロトニンが相対的に不足するため、不安感やイライラといった精神的な症状に悪影響を及ぼす可能性があります。
カフェインは効果が半減するまでに4時間かかり、効果が薄れるまでには8時間ほどかかるので、夜間の睡眠に影響することも考えると、午後3時以降は摂取しないようにするのがよいでしょう。
クロロゲン酸の過剰摂取による影響
ポリフェノールの1種であるクロロゲン酸については、降圧作用や認知機能改善などに効果を発揮することが知られている一方、過剰摂取による副作用としては胃腸への影響を考慮する必要があります。
空腹時に飲みすぎるとクロロゲン酸は、胃酸の分泌を促進するため、胃炎や胃潰瘍につながるケースも報告されています。
そのため空腹時にブラックコーヒーを飲むようなことは控えるようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか。
コーヒーには素晴らしい効果があり、死亡リスクの低減やダイエット効果、リラックス・集中力をアップさせるといった効果が期待されています。
一方で飲みすぎによって、胃酸の分泌か過剰となって気分不良になったりすることもあります。
コーヒーを飲むときは1日4杯までとし、その範囲の中で自分に合った適量を探すようにするようにしてください。
手軽に摂取できるコーヒーですから、ぜひ毎日の生活習慣に取り入れることをオススメします。
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