【健康経営】デスク仕事の腰痛は仕方がない?腰痛予防のためのグッズ3選

デスクワーク 腰痛

「デスクワーク作業に腰痛はつきもの」そう思っていませんか?

 

日本人の多くは腰痛で悩んでいることが、国民生活基礎調査によっても明らかになっています。そこで今回はデスクワーク作業に多い「腰痛」について、原因と活用できるグッズをご紹介します。

 

腰痛予防のためのグッズを導入することは、健康面のメリットだけではありません。副次的な効果も期待できますで、この記事ではそちらについても同時に解説していきます。

 

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デスクワークと腰痛の関係

座りすぎがカラダに与える悪影響

座る女性

座りすぎは健康に悪影響を及ぼすことが数多く報告されています。

 

糖尿病や心血管疾患のリスクを高めるだけでなく、死亡リスクの上昇にもつながることが明らかとなっています。

 

特に死亡リスクにおいては、1日11時間以上座っていると死亡リスクが1.4倍になることが明らかになっています。(*¹)

 

また病気にならずとも、肩こり、腰痛といった症状で悩む方は少なくありません。

 

2019年の国民生活基礎調査では、男性・女性共に多くの方が腰痛に悩まされていることが報告されています。

2019有訴者率(画像元)厚生労働省 2019年 国民生活基礎調査の概況

 

デスクワーク時の腰痛の原因

腰痛

一般的に腰痛を引き起こす原因には以下のようなものがあります。

 

腰痛の原因

  • ぎっくり腰(腰椎ねんざ)
  • 椎体骨折
  • 椎間板ヘルニア
  • 筋筋膜性腰痛症 など

 

病気以外で腰痛になる理由の1つは、座っている姿勢が立っている姿勢よりも腰椎にかかる負担が大きいことが挙げられます。

 

立っている姿勢に比べると、座っている方がカラダ全体にかかる負担は少ないのですが、腰が支点となるため腰に負担がかかりやすいのです。

 

腰椎には椎間板とよばれる組織があり、背骨の動きや衝撃を和らげるクッションの役割を果たしています。

 

立っている姿勢よりも座っている時の方が、この椎間板へのストレスを大きくなり、立っている時のストレスが100だとすると、坐位姿勢は140と1.4倍にも及びます。(*²)

 

また座っていると動かないためエネルギーの消費量が少なく、血行不良が生じることも影響します。

 

さら足の裏に体重がかかっているかもポイントです。不良姿勢をとっていると足の裏に体重がかからず、カラダの重みはお尻に集中するため腰への負担が増大します。

 

座っている時はお尻と足の裏(特に踵)の3点で支えることを意識することが大切です。

 

デスクワーカーの腰痛についてはこちらでも詳しく解説しています。

【痛み】原因不明の腰痛!?デスクワークの腰痛はこれが問題だった!

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腰痛予防のための対策

白衣の腰が痛む女性

腰痛予防のための対策について厚生労働省は、「職場における腰痛予防対策指針及び解説」を提示しています。

 

座り作業の一部を参考に記載します。

  1. 腰掛け作業

(1) 椅子の改善
座面の高さ、奥行きの寸法、背もたれの寸法と角度及び肘掛けの高さが労働者の体格等に合った椅子、又はそれらを調節できる椅子を使用させること。

椅子座面の体圧分布及び硬さについても配慮すること。

(2) 机・作業台の改善

机・作業台の高さや角度、机・作業台と椅子との距離は、調節できるように配慮すること。

(3) 作業姿勢等

労働者に対し、次の事項に留意させること。

  1. 椅子に深く腰を掛けて、背もたれで体幹を支え、履物の足裏全体が床に接する姿勢を基本とすること。また、必要に応じて、滑りにくい足台を使用すること。
  2. 椅子と大腿下部との間には、手指が押し入る程度のゆとりがあり、大腿部に無理な圧力が加わらないようにすること。
  3. 膝や足先を自由に動かせる空間を取ること。
  4. 前傾姿勢を避けること。また、適宜、立ち上がって腰を伸ばす等姿勢を変えること。

(4) 作業域

腰掛け作業における作業域は、労働者が不自然な姿勢を強いられない範囲とすること。肘を起点として円弧を描いた範囲内に作業対象物を配置すること。

 

厚生労働省がまとめた対策を簡単にまとめると以下のように解釈できます。

 

ポイント

  1. 机や椅子は調整が可能で、カラダに合わせて使用する
  2. 椅子には深く腰掛けて、背もたれも使って良い姿勢を保つ
  3. 膝裏と椅子の縁が密着しないように余裕をもつ
  4. お尻の圧が分散されるように、座面の硬さには注意する
  5. 座り続けずに適宜立ち上がる

 

背もたれに寄りかかりすぎることは禁物ですが、寄りかからない姿勢を保ち続けるのも過度な背中の緊張を招き良くありません。

 

またキャスター付きの椅子で、素材もメッシュの方が通気性も良く、熱交換がうまくできるため快適に作業することができます。

 

椅子だけでなく机の高さも関係するため、人間工学に基づいたグッズを利用することも、腰痛予防の視点からは大切です。

 

腰痛予防のために使えるグッズ

スタンディングデスクを使う

スタンディングデスクで作業する男性

スタンディングデスクを導入するのも、初期費用はかかりますがカラダのことを考えると良い選択になります。

 

一般的な企業ではデスクに向かって「座りながら」作業することはほとんどが、海外企業のGoogleやMeta(旧:Facebook)や、北欧のスウェーデンやデンマークは「立ちながら」作業するスタイルが浸透しています。

 

日本では楽天、マニュライフ生命、ラクスル株式会社、アイリスオーヤマなどではスタンディングテーブルを導入しています。

 

北欧は幸福度が高いことが有名ですが、幸福度の指標として「健康寿命」も対象となっています。

 

健康のために立って作業することが普通になっていることを考えると、座りすぎの日本人も立って作業する時間を作ることが大切だと言えます。

 

自宅やオフィスでスタンディングテーブルを取り入れた際には、腰痛予防以外にも以下のようなメリットがあります。

ポイント

  • 生産性の向上
  • コミュニケーションの活性化
  • 運動不足の改善
  • 会議の時間も短くなる

 

立っていることで目線が高くなり、近くを通りかかったスタッフとのコミュニケーションが多くなる点や、昼食後の眠たくなる時間に立って作業することで眠気も覚めて集中力が向上するとも言われています。

 

また社内の会議ではスタンディングミーティングを行う方が、スピーディで効率的に話を進められるため、キャノン電子などの企業も導入しています。

 

コストパフォーマンスに優れるスタンディングテーブルには以下のようなものがあります。

 

昇降速度で考えるなら山善の電動昇降式デスクがおすすめですが、全体的なコストパフォーマンスを考えるとSunonのデスクが評判が良い傾向です。

 

また机を選定する際は、机の広さにも注意しましょう。

 

作業中の机が狭い場合は視覚的な情報からも圧迫感を受けてしまい、カラダの余計な緊張により肩がこる場合もあります。

 

「自宅等でテレワークを行う際の作業環境の整備について」でも紹介されていますが、適度な広さがあることが大切です。

 

作業環境整備

(画像元)厚生労働省 自宅等でテレワークを行う際の作業環境の整備について

 

理想的には横120cm以上・奥行き60cmはあった方が作業しやすくなります。

 

オフィス用品を取り扱っている会社にも複数の種類があるため、検討されてみることをおすすめします。

 

人間工学に基づいた椅子を使用する

オフィスチェアとデスク

立って作業することもカラダや作業効率を考える上では大切です。

 

しかし座ってじっくり考える必要がある場合は、座る椅子にも気をつける必要があります。

 

厚生労働省は背もたれがやや後方に後方に傾斜し、腰用のパッドが装着されている椅子を推奨しています。

 

理学療法士の視点からしても、腰パッドがある方が背骨のきれいな配列を保ちやすく、椎間板への負担が軽減するので腰パッドがある方がよいでしょう。

 

また固定式の椅子ではなくキャスターが付いていることも重要です。

 

固定された椅子では椅子に可動性がないため、机に対してカラダを傾けたり、ねじることで姿勢を修正することになります。

 

回転式やキャスターがあることで、椅子を軸にして方向を変えられるため、カラダにかかるストレスは軽減できます。

 

その際は必ず足をしっかりと床についておくことが大切です。足がついていなければ腰で体重を支えることになるので、足の裏がしっかりと床に着く高さに調整し、机との適合性をチェックしましょう。

 

 

背もたれはローバック、もしくはミドルバックがオススメです。

 

ローバックチェア

(画像元)アーユル・チェアー

 

ミドルバッグチェア

(画像元)Amazon

 

ローバックの場合、腰の高さに支点が来るため、理想的な背骨の配列を保ちやすくなります。

 

ローバックチェアで有名なアーユル・チェアーは、自律神経の名医である小林弘幸先生も推薦されており、子どもの集中時間が向上したとの結果も得られています。

 

実際にドコモ・サポート株式会社、三井不動産株式会社、味覚糖株式会社などの企業や学習塾でも導入されています。

 

ミドルバッグの椅子の場合は、通常の椅子と背もたれの高さは同じですが、購入する際は腰パッドのついているものを選ぶことで、骨盤や背骨のラインが整い腰への負担を軽減してくれます。

 

ハイバッグの椅子は長時間の作業には向いていると言われていますが、背中を背もたれに預けると画面との距離感が遠くなり、頭を突き出した姿勢になりやすくなります。

 

この姿勢では首回りの緊張が高くなることから、背もたれはミドルバッグの高さまを選択するのが良いでしょう。

 

 

クッションを利用する

エクスジェルシーティングラボ クッション(画像元)EXGELシーティングラボ

.すでにオフィスに椅子があり、変更するのが難しい場合はクッションを利用するのが良いでしょう。

 

椅子用のクッションにも複数の種類が存在しますが、可能なら骨盤までサポートしてくれるクッションを使用します。

 

骨盤までサポートしてくれるものであれば、骨盤の後方への傾きを軽減してくれるため、腰パッドと同様の効果を期待できます。

 

個人向けのサービスですが、EXGELシーティングラボでは購入を検討している商品の無料お試しサービスを実施しています。

 

EXGELシーティングラボは医療現場や介護現場でも利用されているクッションになります。

 

脳梗塞後で車椅子を利用される場合などは、駆動の際に姿勢保持が難しいため、EXGELシーティングラボのクッションを利用して座ったときの姿勢を安定させることもありました。

 

高価なものでなくても、最近は量販店でも腰までの高さのついたクッションが販売されているので、一度お試しで座って姿勢を確認してみるのも良いでしょう。

 

まとめ

腰痛予防のためには、カラダを整えることも大切ですが、作業する環境を整えることはもっと大切です。

 

個人の健康意識を変えるにはまずは「環境」から変化させることが大切になります。

 

毎日使用するデスクや椅子を変えることで、腰痛が軽減し従業員や個人のパフォーマンスが向上し作業が捗るようになるでしょう。

 

もちろん、腰痛予防のために始業前や業務時間中に体操を行うことも効果的です。

 

環境を整えつつ、カラダのケアを怠らないようにすることが腰痛ケアにとって大切と言えるでしょう。

 

参考文献

  1. Teruhide Koyama et al:Effect of Underlying Cardiometabolic Diseases on the Association Between Sedentary Time and All‐Cause Mortality in a Large Japanese Population: A Cohort Analysis Based on the J‐MICC Study.Journal of the American Heart Association
  2. NACHEMSON, ALF L. MD:The Lumbar Spine An Orthopaedic Challenge.Spine: March 1976 - Volume 1 - Issue 1 - p 59-71
  3. デスクワークにおける腰痛対策.東京医科歯科大学 保健体育学分野 TLCPスタッフ
  4. 腰痛を予防していつまでも「笑顔」に.公益社団法人 日本理学療法士協会 理学療法ハンドブック シリーズ3 腰痛

 

  • この記事を書いた人

田中 宏樹

After Reha代表の田中宏樹です。医療保険、介護保険分野のそれぞれで経験を積みながら、経営・マネジメントの勉強・情報発信も行っています。認定理学療法士(脳血管・運動器)/ ドイツ筋骨格医学会認定マニュアルセラピスト / PNFアドバンスコース(3B)修了 / FBL Klein-Vogelbach 1,2a+b修了 / 成人ボバースアプローチ基礎講習会修了 / 健康経営EXアドバイザー /企業経営アドバイザー/作業管理士

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