今日は、保育士の先生方・園長先生方にぜひ知っていただきたい制度改正についてお話しします。
「最近、気になる子が増えている気がする」 「個別の配慮が必要な子に、もっと丁寧に関わりたいけれど人手が足りない」 そんな日々のなかで、ひとつ大きな後押しになりそうなニュースが、令和8年4月に動き出しました。
■「特定理学療法士等」が保育士1人としてカウントできるように

令和8年4月8日、こども家庭庁と文部科学省から 「保育所等における特定理学療法士等の配置に関する特例」 に関する通知が発出されました。
ポイントを一言でいうと、こうなります。
ポイント
理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)などの専門職を、1人に限り「保育士」とみなして配置基準上カウントできるようになる。
対象となるのは保育所だけではありません。 認定こども園、小規模保育事業所(A型・B型)、事業所内保育事業所 にも同じ特例が適用されます。
これまでこの「保育士みなし」ができたのは、保健師・看護師・准看護師に限られていました。それが今回、リハビリ専門職や心理職にも枠が広がったということです。
背景には、「障害のあるお子さん・医療的ケア児の保育所等利用が増え、児童発達支援との併行通園も進んでいる」という現実があります。
ですので、集団保育のなかに専門的な視点をもっと入れていこう、というメッセージでもあります。
■ 「特定理学療法士等」って誰のこと?

法令上の正式名称は 「特定理学療法士等」。
PTだけを指す言葉ではない、という点はぜひ押さえておいてください。 具体的には、以下の職種が対象になります。
- 理学療法士(PT)
- 作業療法士(OT)
- 言語聴覚士(ST)
- 心理担当職員(大学等で心理学を専修した者など)
- 障害児の療育に関する知識・経験を有し、障害児の療育の指導を行う業務に5年以上従事した経験を有する者
そのうえで、次のいずれかの 経験要件 を満たすことが必要です。
要件
- 当該保育所等での 勤続3年以上
- または、勤続3年未満でも、「子育て支援員研修(地域保育コース)」 を修了していること
つまり、児発・放デイなどでキャリアを積んできたPT・OT・STが、研修を経ることで保育の場にもスムーズに参画できる道筋が用意されたということです。
■ 「保育士の代わり」ではなく「チームの一員」として

ここがいちばん大事なポイントです。 今回の制度は、保育士不足の単純な穴埋めではありません。運用上、次のことがしっかり定められています。
- 特定理学療法士等が保育を行う際は、保育士による支援を受けられる体制を確保すること
- 保育士と合同の組・グループを編成し、原則として同じ保育室で保育を行うこと
- 支援を担う保育士は、勤続概ね3年以上・常勤が望ましい
つまり、PT・OT・STが単独で保育を回すような運用は 想定されていません。
あくまで保育士の先生方とチームを組み、その中で姿勢・運動・感覚・言語・コミュニケーションといった専門性を活かしていく、というのが本来の趣旨です。
■ 保育の先生方にとって、何が変わるのか

現場目線で言い換えると、こんなイメージです。
- 「立つ・歩く・座る姿勢が気になる子」に、運動発達の専門家の目 が入る
- 「手先が不器用」「集団遊びに乗れない」子に、感覚や作業の視点 からアプローチが入る
- 「ことばがゆっくり」「発音が気になる」子に、コミュニケーション支援の視点 が入る
- 巡回相談や事後フォローではなく、日常の保育のなかで 一緒に考えられる
もちろん、PT・OT・STの側も、保育の専門家である先生方から学ぶことが本当にたくさんあります。
集団の中での子どもの姿、生活の流れ、保護者支援 ― これらは私たちセラピストが普段の個別支援だけでは見えにくい部分です。
「就学前から多職種で子どもを面で支える」これが現実になっていく改正だと感じています。
■ この改正をどう受け止めるか
After Reha は、宮崎で発達支援に携わっています。 日々お子さんと関わる中で、いつも感じていることがあります。
「もっと早く、生活の場で関わることができたら」
児童発達支援や放課後等デイサービスは、もちろん大切な場です。けれども、お子さんが一日のうちで一番長く過ごすのは、保育園や認定こども園であることがほとんどです。
そこに専門職が入っていけるということは、お子さんにとっても、ご家族にとっても、そして保育士の先生方にとっても、大きな意味があると考えています。
「事業所に通って訓練する」だけでなく、「生活の場で一緒に育ちを支える」 ― そんな関わり方が広がっていく入り口に、この制度はなり得ると感じています。
■ 保育の先生方へ ― まずは知ることから
園としてすぐに専門職を配置するかどうか、というのは別問題かもしれません。
ただ、こうした制度が動き始めたこと、そして 「外部の専門職と組むという選択肢が、制度上認められた」 という事実は、ぜひ知っておいていただきたいと思っています。
気になる子のこと、保護者対応のこと、就学に向けた連携のこと 、一園だけで抱え込まず、地域の発達支援機関と一緒に考えていく時代が、本格的に始まっています。
After Rehaも、宮崎の保育・教育の現場の方々と、これからより深く手を取り合っていけたらと願っています。
ご質問やご相談があれば、After Rehaまでお気軽にお問い合わせください!