脳卒中(脳梗塞や脳出血)を発症し、病院でのリハビリを進めていく中で、多くの方が直面するのが「発症から180日(約半年)」という国の定めた保険の期限です。
この時期を迎えると、「180日を過ぎたら、もうこれ以上は良くならないのだろうか?」「このままリハビリを続ける意味はあるのだろうか?」という切実な疑問を持たれる方が少なくありません。
ですが、これまで関わってきた方を見て、リハビリの専門家として、はっきりとお伝えしたいことがあります。
それは「発症から半年を過ぎても、リハビリを続ける医学的な意味は十分にある」ということです。
人間の脳には、ダメージを乗り越えて変化し続ける力が備わっています。
そして、適切な訓練を継続すれば、日常生活の動作(ADL)は発症から何年経っても向上させることが可能です。
この記事では、なぜ180日以降もリハビリが必要なのか。世界的に信頼されている研究をもとに脳の仕組みの観点から、わかりやすく解説します。
1. 脳には「別のルートを作る力」がある

脳卒中によって脳の細胞の一部がダメージを受けると、手足の麻痺などの後遺症が現れます。
一度ダメージを受けた脳細胞自体が、全く同じように元通りに生き返ることはありません。これが「もう治らない」と誤解される最大の理由です。
しかし、人間の脳には「脳の可塑性(かそせい)」という能力が備わっています。
これは、ダメージを受けた部分の周囲にある「生き残っている脳細胞」が新たにネットワークを結び直し、失われた機能を補おうとする仕組みです。
この新しいネットワークを作るために不可欠なのが、「反復した正しい運動(リハビリ)」です。
適切なリハビリという刺激を与え続けることで、発症から長期間が経過していても、脳は少しずつ変化していくことがわかっています。
2. 「半年以降」の回復を証明する医学的研究(エビデンス)

「回復するのは最初の半年だけ」というのは、脳卒中を患われた方はお聞きしたことがあるのでないでしょうか。
ただ現代のリハビリテーション医学において、世界的に高く評価されている研究で、慢性期(発症から半年以上)におけるリハビリの効果が明確に証明されています。
ここでは、実在する代表的な3つの論文をご紹介します。
① 発症から平均4.5年経過しても運動機能は向上する
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【引用論文】
Taub E, et al. "A placebo-controlled trial of constraint-induced movement therapy for upper extremity after stroke." Stroke. 2006;37(4):1045-1049. -
【解説】
発症から平均4.5年という長期間が経過した慢性期の患者に対し、麻痺側を集中的に使うリハビリを行った結果、日常生活における麻痺した手の使用頻度と運動機能が大幅に向上し、その効果が2年間持続したことが証明されました。
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② 180日の期限をまたぐ時期(3〜9ヶ月)でも確かな効果が出る
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【引用論文】
Wolf SL, et al. "Effect of constraint-induced movement therapy on upper extremity function 3 to 9 months after stroke: the EXCITE randomized clinical trial." JAMA. 2006;296(17):2095-2104. -
【解説】
発症から3〜9ヶ月の患者を対象にした大規模研究です。集中的なリハビリを行ったグループは、通常のリハビリを行ったグループと比較して、臨床的に意味のある腕の運動機能の向上が見られました。
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③ 日常生活動作(ADL)の改善には「実際の動作練習」が有効
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【引用論文】
Rensink M, et al. "Task-oriented training in rehabilitation after stroke: systematic review." Journal of Advanced Nursing. 2009;65(4):737-754. -
【解説】
過去の多数の研究を統合した信頼性の高いレビュー論文です。単に筋肉を動かすだけでなく、「コップを掴む」「歩く」といった実際の生活動作に直結した練習を行うことで、日常生活動作(ADL)の能力そのものが向上することが示されています。
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これらの研究が示すのは、「医学的に見て、脳のネットワーク再構築に絶対的な期限はない」という事実です。
3. 機能は限界でも「能力」は向上し続ける

「半年経つと、もうこれ以上は良くならない」という言葉も実は異なります。ここで明確に区別していただきたいのが「機能」と「能力」の違いです。
確かに、麻痺そのものの回復(=機能)は、一定の時期を過ぎるとグラフが平坦になり、目覚ましい変化が起きにくくなる傾向があります。
しかし、「生活動作(ADL)の改善(=能力)」までが頭打ちになるわけではありません。能力の向上にプラトーはないのです。
180日以降のリハビリで最も大切なのは、麻痺を完全に元の状態に戻すことだけを目標にするのではなく、「日常生活の動作(ADL)を、自分の力で行えるようになること」です。
実際の生活動作を想定した練習を繰り返すことで、以下のような変化が期待できます。
メモ
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動作の学習と定着
何度も繰り返し練習することで、脳と体が効率的な動かし方を覚え、少ない力でスムーズに動けるようになります。 -
代償手段の獲得
麻痺した手足の働きを、元気な方の手足や、体幹(胴体)の筋肉で上手くカバーする技術を身につけます。
「麻痺(機能)」が劇的に変わらなくても、体の使い方を変え、代償手段を学ぶことで「一人でトイレに行ける」「自分で食事ができる」といった「生活能力」は、練習次第で発症から何年経っていても十分に向上させることが可能です。
これも非常に重要なリハビリによる回復の形です。
4. なぜ「自費リハビリ」という選択肢が必要なのか?

これまでお話しした通り、発症から180日以降も脳のネットワークを作り直し、生活能力を向上させるためには「十分な量と質の練習」が必要です。
しかし、現在の医療・介護保険制度では、どうしても180日以降に受けられるリハビリの「時間」や「頻度」が大きく制限されてしまいます。
例えば、病院では180日間みっちりリハビリがあったのに、介護保険で老人保健施設などに入所すると、途端にリハビリの時間が短くなり、「がっかりした」というお声も少なくありません。
- 「もっと良くなる可能性があるのに、リハビリの時間が足りない」
- 「自分の目標に合わせた、専門的な訓練を受けたい」
そうした思いにお応えするのが、自費リハビリ(保険外リハビリ)です。
期限や時間の制限がないため、医学的根拠に基づいた十分な量のリハビリを、納得いくまで続けることができます。
宮崎での自費リハビリなら「アフターリハ」へ

もし、あなたが宮崎にお住まいで、180日の壁に不安を感じていたり、「もっと歩けるようになりたい」「もう一度自分の手で生活したい」という目標をお持ちなら、ぜひ一度「アフターリハ」にご相談ください。
私たちは、今回ご紹介したような世界的な医学エビデンスに基づき、脳の可塑性を引き出す専門的なアプローチと、生活能力(ADL)向上のための実践的な練習を提供します。
あなたの「もっと良くなりたい」という思いに、専門家として真っ直ぐに向き合います。
まずは一度、無料相談・体験リハビリにお越しください。新しい一歩を、一緒に踏み出しましょう。