【カラダの不思議】感覚について知ろう!"感覚”と"運動”の密接な関係

ロッククライミング

私たちが日常生活を送る際は、ただ単に動作を行なっているのではなく感覚の情報をもとに運動しています。

 

感覚と運動は常に表裏一体の関係にあるのです。

 

今回はそんな感覚について、大枠を捉えながら細かくお伝えしていきます。

 

脳卒中後の感覚障害や麻痺、子どもの感覚過敏・感覚鈍麻にも大切になりますのでぜひ最後までご覧ください。

 

感覚とは

バランス

感覚

感覚とは、カラダの内外からさまざまな刺激が感覚器官を通して、脳に伝えられるものです。

 

ヒトの感覚は、恒常性(ホメオスタシス)を保つために必要な機能とされています。

恒常性とは?

  • カラダの外側からの刺激や内部の変化に対して、カラダの状態を一定に保とうとする働きのこと。
  • (例)気温が高くなる→汗をかく→体温を下げる 

 

さらにその感覚を意味づけして感じ取ることができた場合は、「知覚」といいます。

 

知覚

知覚とは、脳に伝わった感覚に対して「痛い」「熱い」「辛い」など意味を持たせた場合のことです。

 

知覚と感覚は言葉として混同されがちですが、正確には異なります。

 

そのため感覚障害という言葉を耳にすることありますが、知覚障害という言葉が正しいこともあります。

 

例えば筆の先で優しく肌に触れているのに、強い痛みを感じる場合は感覚障害ではなく知覚が障害されていることになります。

 

認知

認知という言葉も感覚の中には存在ます。

 

認知とは理解・判断・倫理などの知的機能を指すとされ、知覚した上で、それが何なのか価値判断することです。

 

例えばテレビのリモコンで考えると、テレビのリモコンは数字が並んでいますが、大きさや形状といった視覚の情報や「テレビリモコン」と判断できますが、認知機能が低下していると「携帯電話」と間違えたり、それが何であるか適切に判断できません。

 

ちなみに「認知症」は、物忘れを含め、判断力や計算力・理解力などの高次の脳機能に問題がある場合とされています。

(参考)厚生労働省 e-ヘルスネット 認知機能

 

感覚の種類

感覚の種類は大きく分けると

  • 特殊感覚
  • 体性感覚
  • 内臓感覚

以上の3つに分類できます。

各感覚の中にもいくつも種類があり、それに対応した刺激を感じ取る受容器が存在しています。

 

特殊感覚

  • 視覚(受容器:目)
  • 聴覚(受容器:耳)
  • 味覚(受容器:舌)
  • 嗅覚(受容器:鼻)
  • 平衡感覚(受容器:内耳)

 

体性感覚

  • 触覚
  • 圧覚
  • 痛覚
  • 温冷覚
  • 固有感覚

 

内臓感覚

  • 臓器感覚(空腹感、尿意、便意など)
  • 内臓痛覚

 

 

感覚の3種類とは別に、ノーベル賞を受賞したシェリントンは「外受容感覚」「内受容感覚」「固有感覚」の3つの機能的な区別を行った分類もあります。

 

外受容器はカラダのっ表面に近い外受容器によって生じる感覚で、外部の情報を知覚する際に用いられます。

 

内受容感覚は外受容感覚とは異なり、カラダの中の変化を感じとる受容器で、感情などとも関係しています。

 

そして固有感覚は、筋肉・腱・靭帯・関節から得られた情報から、カラダの位置や動き、力の状態を知覚するものです。

 

感覚と言っても分類が多く、感覚を検知している受容器が異なるため、どこで問題が起こっているのかを知覚・認知過程含めて評価する必要があります。

 

感覚と運動

 

これまで感覚についてお伝えしてきましたが、感覚は運動と密接に関係しています。

 

人が感覚情報を得るには「動く」必要があるからです。

 

例えば、洋服の触り心地を確認するときはどうしますか?

服を触るために手を動かし、そして服の表面をなでるようにして触覚情報を取り入れる必要があります。

 

服を触った感覚を脳が知覚し、好みの素材かどうか判断しています。つまり感覚を取り入れるためには、カラダの一部を動かす必要があるのです。

 

また逆でも同じことが言えます。

正確に動くためには感覚が必要で、床面がツルツルの氷であれば慎重に歩くように運動を調整するでしょうが、床がコンクリートのように硬くてしっかりとした素材であればそこまで注意する必要はありません。

 

このように感覚と運動は相互に作用し合っています。

 

感覚の機能が悪くなれば運動の調整も難しくなり、また動くことができなければ感覚情報が入ってこないため、正確な動きをすることも難しくなるように、感覚と運動は常にセットで機能していることを理解しておきましょう。

 

 

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参考文献

・Sherrington, C.S. (1906) The integrative action of the nervous system. New Haven:Yale University Press

・寺澤悠理ら:内受容感覚と感情をつなぐ心理・神経メカニズム.Japanese Psychological Revie,2014,Vol. 57, No. 1, 49-66

・北原 祐理:内受容感覚への気づきは適応的な感情調整を説明するか?日本心理学会第83回大会

・後藤淳:中枢神経系の機能解剖-感覚入力系- 関西理学 5:11-21,2005

・小堀 聡:人間の知覚と運動の相互作用──知覚と運動から人間の情報処理過程を考える──

・金子文成:運動感覚機能の向上は運動器の向上に結び付くか.バイオメカニズム学会誌,Vol31.No.4(2007)

 

  • この記事を書いた人

田中 宏樹

After Reha代表の田中宏樹です。医療保険、介護保険分野のそれぞれで経験を積みながら、経営・マネジメントの勉強・情報発信も行っています。認定理学療法士(脳血管・運動器)/ ドイツ筋骨格医学会認定マニュアルセラピスト / PNFアドバンスコース(3B)修了 / FBL Klein-Vogelbach 1,2a+b修了 / 成人ボバースアプローチ基礎講習会修了 / 健康経営EXアドバイザー /企業経営アドバイザー/作業管理士

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