【守る】カラダの免疫力を高めよう!免疫力低下の原因と運動の効果

感染拡大を受けて「免疫力」を高めることの重要性を最近はよく耳にします。

しかし、そもそも免疫力とは一体どういったものなののでしょうか?

今回は免疫力と運動にスポットを当てて、免疫力を高めるにはどうしたらいいのか見ていきましょう。

免疫力とは?

「免疫力」とは、外からのウイルスや細菌などによって病気を引き起こさないようにカラダを守る力のことです。

この「免疫」には「自然免疫」と「獲得免疫」の2種類があります。

自然免疫

ウイルスや細菌などの病原体がカラダに入ってきたとき、いち早く病原体を排除するように働く仕組みのことです。

病原体がカラダの中に入ってこないように、門番のような役割をしていると言ってもいいでしょう。

獲得免疫

門番である自然免疫のブロックをくぐり抜け、カラダの中に入ってきた病原体を排除する仕組みのことで、一度で排除したことのある病原体の情報を記憶し、再び出会った際には排除できる仕組みができています。

そのため適応免疫とも呼ばれています。

 

ヒトのカラダはこれら2つの免疫が働くことで、病気からカラダを守っています。

 

免疫力低下の要因

カラダを守るために重要となる免疫ですが、免疫力が低下する要因としてはどういったものがあげられるのでしょうか。

1.加齢

加齢に伴って免疫機能は低下していき、高齢者などは感染に対する抵抗性が低下してしまいます。

 

免疫力は思春期の10代後半~20代ピークに、その後は年をとるごとに低下していきます。

40代ではピーク時の50%に、 70代に至っては10%に落ち込むと言われています。

 

これは老化によってT細胞と言われる細胞の機能低下が原因とされています。T細胞はカラダを病原体から守る司令塔のような役割を担っています。

 

またナチュラルキラー細胞も加齢と共に機能が低下します。白血球の1種であるリンパ球のナチュラルキラー細胞は、がん細胞やウイルスなどを見つけて、攻撃する重要な細胞で、「自然免疫」において重要な役割を担っています。

加齢に伴ってがんの罹患率が上がるのは、これらの免疫機能が低下するためです。

 

また加齢によって全身の筋肉量が減少するため、体温が下がりやすくなり、血流の低下によって免疫が低下してしまいます。

 

(参考):「T 細胞の老化と免疫老化 」 領域融合レビュー, 7, e005 (2018),「老化と免疫」 日本老年医学会(2011)

2.睡眠不足

睡眠不足が健康に悪いということは周知の事実ですが、慢性的な睡眠不足は、ナチュラルキラー細胞の働きを低下させてしまいます

また睡眠不足が続けば自律神経に影響を及ぼし、交感神経、副交感神経のバランスが崩れてしまします。

 

自律神経のバランスが崩れると血圧,脈拍,消化吸収,代謝,体温などが上手にコントロールできなくなり、免疫力にも影響を及ぼします。

睡眠については睡眠不足だけでなく、睡眠の質についても注意する必要があります。

 

最初の深い眠りである「ノンレム睡眠」の際に、成長ホルモンの分泌によって、カラダの機能が回復します。成長ホルモンは昼間にはほどんど出ないので、夜にしっかりと眠ることが免疫力を高めるポイントとなります。

出来れば、1日7時間以上の睡眠をとることをおススメします。

3.不規則な生活習慣

免疫力の低下をもたらすものには、不規則な生活習慣も挙げられます。

若いうちであれば、免疫力は比較的高いため”何とかなる”かもしれませんが、加齢により免疫力が低下してくる40代になると生活習慣の乱れは大きく影響してきます。

 

睡眠不足や偏った食生活、運動不足、喫煙、飲酒などは健康なカラダをつくるために、改善しなければなりません。

 

特に食事については注意する必要があります。免疫細胞の多くは腸に集まっており、腸内環境が悪い状態にあると、細菌やウイルスといった病原体の体内への侵入を食い止めることができなくなります。

 

免疫を高めるには腸内細菌(善玉菌)を増やすことが重要です。

そのためには、発酵食品であるヨーグルト、納豆、キムチ、チーズ、みそを摂取したり、食物繊維をしっかりと摂取することで便通をよくすることが大切になります。

 

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4.ストレス

現代人はストレスの多い環境で暮らしています。

仕事や学校、家庭内でのトラブル、こういったものはほとんど人間関係が原因となっています。

気を使う場面も多い社会の中で、強いストレスを受けると自律神経のバランスが乱れてしまいます。

 

持続的な強いストレスは交感神経を緊張させ、免疫力を低下させるホルモンや神経伝達物質が分泌されてしまいます。

 

また交感神経が優位に働くことで内蔵の働きが低下したり、食欲不振を引き起し、免疫力が低下しやすい環境に陥ってしまいます。

ストレスを軽減させるには、笑ったり、カラダを温めたり、睡眠時間を確保するといったことで、副交感神経を優位に働かせることが重要となります。

 

免疫力アップになぜ運動が必要なのか?

適度な運動はエネルギーの消費を高めたり、肥満や糖尿病、高脂血症などの生活習慣予防に効果があります。

さらに適度な運動を継続的して行うことは、感染症やがんの予防にも有効とされています。

1時間以内の比較的短時間の運動では、運動強度に依存してナチュラルキラー細胞が増加します。ナチュラルキラー細胞は病原体からカラダを守ってくれているため、増加することによって免疫機能が高まります。

ただし、マラソンやトライアスロンなどの激しい運動やトレーニングは血中のナチュラルキラー細胞などの機能が一時的に低下してしまい、ストレスホルモンなどにより感染しやすい状況になってしまいます。

マラソン選手なども競技終了後2週間で50~70%が感冒症状(かぜ)になるというデータもあります。そのリスクはなんと通常の2~6倍にもなるとされています。

激しい運動を行った際は、普段以上に日常生活に注意を払う必要があると言えるでしょう。

(参考):「Exercise,nutrition and immune function」Sports Med 2003,「高齢者の免疫機能に及ぼす運動の影響」体力科学 2003,「運動と免疫」日本補肝代替医療学会誌 2004年)

免疫力アップに効果的な運動はコレ!

1.深呼吸

運動とは言えないかもしれませんが、深呼吸を侮ってはいけません。ラジオ体操の最後にも深呼吸がありますよね。これには深い理由があります。

呼吸は自分で自律神経のバランスを整えることができる重要な手段になります。

運動後など交感神経が優位な時は浅い呼吸になりやすいので、深呼吸を行うことで、副交感神経の働きを高め自律神経のバランスを調整することができます。

深呼吸する際には、腹式呼吸となるように、鼻から息を吸っておなかを膨らませ、息を吐くときはおなかを凹ませるようにしましょう。

 

2.ウォーキング・ランニング

免疫力を高めるには、軽めの有酸素運動が効果的です。

有酸素運動によって免疫細胞が活性化されるため、息があがるか、あがらないか程度の運動、会話をしながら少し汗ばむ程度の運動が強度の目安となります。

ウォーキングに至っては、筋肉量を維持・向上させたり、直接的にストレスを軽減させる働き、心疾患や脳の認知機能にも良い影響をもたらします。免疫力を高める以外にもうれしい効果が多いためぜひ取り入れてほしい運動です。

ウォーキング・ランニングともに20分以上は行うようにすると効果的でしょう。20分以下でも有酸素運動の効果が報告されていますが、目安とするなら20分とした方がいいでしょう。

 

3.スクワット

スクワットは下半身の強化にはおすすめの運動になります。

大きな筋肉が多い下半身を鍛えることで、筋肉量が増え血流の改善の効果が期待できます。また筋肉量が増えることで、体温が上がり免疫力が高まります。

効率的に免疫力を上げるには、筋肉量の多い下半身を鍛えるのがおすすめです。

 

おわりに

免疫力を高めることは、健康なカラダを維持するために重要なことです。

健康でなければ仕事も遊びも楽しめません。

日々の生活習慣を見直しながら、免疫力アップを心掛けましょう。

  • この記事を書いた人

田中 宏樹

After Reha代表の田中宏樹です。医療保険、介護保険分野のそれぞれで経験を積みながら、経営・マネジメントの勉強・情報発信も行っています。認定理学療法士(脳血管・運動器)/ ドイツ筋骨格医学会認定マニュアルセラピスト / PNFアドバンスコース(3B)修了 / FBL Klein-Vogelbach 1,2a+b修了 / 成人ボバースアプローチ基礎講習会修了 / 健康経営EXアドバイザー /企業経営アドバイザー/作業管理士

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