子どもの足は、大人の足をそのまま小さくしたものではありません。 骨の多くが柔らかい「軟骨」でできており、とてもデリケートです。
この時期に合わない靴を履き続けると、足の変形だけでなく、膝や腰、さらには全身の姿勢や運動能力の発達にまで影響が及ぶ可能性があります。
この記事ではなぜ子どもの靴選びが重要なのか、そしてご家庭でできる「足の発達を守る正しい靴選びのポイント」を、カラダの専門家の視点からやさしく解説していきます。
なぜ「靴選び」がそんなに大切なの?

子どもの足には将来の発達を支えるために、とても大切な「あるもの」が育つ時期があります。
それは「足のアーチ(土踏まず)」です。
アーチは私たちが立ったり歩いたりするときのカラダに備わった自然の「クッション」であり、地面を蹴るときの「バネ」の役割を果たしてくれます。
生まれたばかりの赤ちゃんの足は扁平(へんぺい)で、土踏まずがありませんが、 歩き始めて、活発に走り回るようになる3歳から7歳頃にかけて、足の骨や筋肉が発達し、徐々にあの「弓なり」の構造(アーチ)が作られていきます。
でもカラダが大きく育って、走り回れるようになる時期にも関わらず、アーチがうまく育たない(いわゆる扁平足)状態が続くと、
- クッションがないので、足がすぐに疲れてしまう(「すぐ抱っこ」の原因になりやすい)
- バランスが取りにくく、転びやすくなる
といったことにつながりやすくなります。
この大切なアーチを育てるためには、足の指をしっかり使って地面を踏ん張る経験が不可欠です。
そして、その発達を邪魔せず、サポートしてくれるのが「カラダにあった靴」なのです。
ちなみに靴もとても大切ですが、外で裸足で遊ばせる園もありますよね。裸足にもメリットがあるので、こちらについては別記事で解説していますので、合わせてご覧ください。
まずはここだけ!靴選び「3つのチェックポイント」

「専門的なことは難しそう…」と感じるかもしれませんが、大丈夫です。 まずはお店で靴を選ぶとき、この3つだけチェックしてみてください。
1. かかとの「硬さ」は適切ですか?
靴のかかと部分(ヒールカウンターと呼ばれます)を、大人の親指でグッと押してみてください。
良い靴のサイン
大人の力で押しても「硬さ」があり、簡単には潰れない強度がある。
子どもの足の土台は、「かかとの骨(踵骨:しょうこつ)」です。
この土台がグラグラしていると、足全体が不安定になり、アーチも育ちにくくなります。
かかとの硬い靴は、この大切な土台を「家の柱」のように、外側からしっかり支えてくれる役割があるのです。
2. 曲がる場所は「正しい位置」ですか?
靴を手に持って、つま先側を曲げてみてください。
良い靴のサイン
靴の真ん中ではなく、靴底の前から1/3くらい(指の付け根)のところで、スムーズに曲がる。
私たちが歩くとき、足は「指の付け根」で曲がります。
靴が違う場所で曲がってしまうと、指をうまく使って地面を蹴ることができません。これでは、せっかくの足の「バネ」が育ってくれません。
3. 「履き方」は合っていますか?
どんなに良い靴を選んでも、履き方が間違っていると効果は半減してしまいます。
正しい履き方
- ベルト(マジックテープ)を緩めて、足を靴に入れます。
- つま先ではなく、かかとを床で「トントン」と合わせます。
- かかとがしっかり収まったのを確認してから、ベルトを「ギュッ」と締めます。
これは、靴の「柱」(ヒールカウンター)に、足の「土台」(かかと)を正しく収めるための、とても大切な調整なんです。
まとめ
お子さんの足は、毎日ものすごいスピードで成長しています。
「たかが靴」ではなく、「足を守り、育てるための大切な道具」として、ぜひ今日の3つのポイント【①かかとの硬さ、②曲がる位置、③正しい履き方】を意識してみてくださいね。
とはいえ、こんな疑問も浮かんできませんか?
- 「もう少し具体的に、どんな靴がおすすめなの?」
- 「お医者さんに扁平足気味って言われたけど、どうしたらいいの?」
- 「正しいサイズって、どれくらいの余裕(捨て寸)があればいいの?」
そんな、一人ひとりの特性や、より専門的な「靴選びの7つポイント」、そして「正しいサイズの測り方」については、note(有料記事)で、研究論文なども交えながら、もっと詳しくお話ししています。
保育や子育てがもっと楽しく、確かなものになるヒントが詰まっていますので、ぜひ覗いてみてください。