なくてはならない存在へ!病院・施設でのキャリアデザイン

現在医療現場・介護現場で働いているセラピストの方がほとんどではないでしょうか?

理学療法士や作業療法士が増え続けていく中で、病院や施設は増えているでしょうか。

病院に限っては、「公立・公的病院の再編統合」の話が厚生労働省から出されています。

新型コロナウイルスの影響で再検証という形になりましたが、それでも延期という形でしょうから、いずれは実施されるでしょう。

またデイサービスなどの施設においても、倒産件数が徐々に増加傾向にあり、施設で働いているセラピストも危機感を覚える必要があります。

今回は、需要と供給のバランスがすでに崩れているセラピスト業界で、いかに現在の職場での存在価値を高めるかを考えていきましょう。

セラピストが置かれている現状

セラピスト業界は需要と供給が崩れ、セラピストの供給過多になっているのは以前のブログでも紹介させてもらいました。

そんな中で、転職活動をしようとすると

  • 「就職先がない」
  • 「給与が極端に低い」
  • 「年齢制限にかかる」

などいろいろな制限がかかってきます。

そのため、現在の職場から動かず退職まで働き続けることを考える方もいるでしょう。

実際、中堅以上のセラピストはそう考えている方が多いように感じます。

ですが、これからの若いセラピストはどうでしょう。

給与も上がらず、今後診療報酬改定により点数が下がってくると、給与も上がらず、「セラピスト辞めようかな?」と感じてしまう事さえあるでしょう。

実際、私の身近でも「保険募集人」「起業家」「農家」などへ転身した同僚を知っています。

もちろんそれが悪いというわけではなく、転職を考えるほどセラピスト業界は不安要素が大きいという事です。

もし同じ職場で今後も働き続けるなら、その病院・施設での存在価値(社内価値)を高める必要があります。

ずっと平社員では、子供を大学まで行かせられないとまで言われるほど、平均年収が下がってきているからです。

職場での存在価値を高めるには?

現在の職場で存在価値を高めるにはどうしたらいいでしょう。

その組織で存在価値を高めるには、3つの選択肢があると考えています。

  1. 管理職につく
  2. スペシャリストになる
  3. 組織の経営幹部になる

管理職につく

「主任」、「係長」、「部長」などの役職に就くことです。

役職に就くには、勤続年数や人事考課に中でいかにいい評価を得るか、などが該当してくると思います

細かく言えば、

  • 今の仕事で結果を出す
  • 職場内スタッフとの良質な人間関係
  • 問題提起、問題家計積能力がある
  • リーダーシップがある
  • 後輩など人材育成ができる

などの要素が必要になってきます。

大きな病院であれば、職能等級制度による昇進管理もしっかりとされていると思いますので、1度就業規則を確認してみるといいでしょう。

スペシャリストになる

リハビリというサービスを提供する私たちは、常に知識と技術を磨いていく必要があります。

学校で習った基礎は、検査機器等の発達により、「昨日の常識、今日の非常識」になっていることもあります。

そのため、セラピストとしての価値を高めるには、その組織で必要とされる知識や技術を常に更新し続け、スペシャリストになることです。

スペシャリストになることで、病院組織の中でリハビリの事なら〇〇さんに聞いたらいい!といった、評価を得られます。

また外部講師としての活動を行えば、さらに自身の価値は高まり、組織の中で必要な人材になれるでしょう。

組織の経営幹部になる

こちらは、「管理職になる」の更に上の段階ですが、事務長など経営側に回ることを指します。

以前働いていた職場では、なぜか放射線技師が毎回事務長になるという流れが出来ていました。

現場から、経営側に回ることで組織のマネジメントを行う必要があり、抜けてもらっては困る人材になるでしょう。

ただし、経営幹部になる努力は並大抵のことではありませんので、存在価値を高めるには「管理職になる」、「スペシャリストになる」あたりが妥当でしょう。

「スペシャリストになる」は知識・技術を磨いていけば達成できると思われるので、今回は「管理職になる」方法を見ていきましょう。

管理職に必要な能力「カッツモデル」を考える

病院・施設での経験年数や与えられたポストによって、求められるものが異なるとされています。

ハーバード大学のロバート・カッツ教授は、役職に応じて必要とされる能力の割合を考えるフレームワーク「カッツモデル」を提唱しました。

現在の職場でのキャリアデザインを考えるうえで、有効なフレームワークになりますので、是非知っておくことをオススメします。

テクニカルスキル

テクニカルスキルとは業務遂行能力のことを指します。リハ職で言えば、専門的な現場で仕事をする上で前提となるスキルです。

経験の浅いスタッフは、実践的な知識やスキルをまず磨くことが必要となります。

現在の職場で求められているスキルを深めることが、存在価値を高める第1歩です。

ヒューマンスキル

ヒューマンスキルとは対人関係の能力のことを指します。コミュニケーション能力やプレゼン能力、コーチング、ファシリテーション、調整の能力といった、チームの関係性を高めるために必要なスキルと言えます。

図の「経営幹部」「管理者」「現場リーダー・一般社員」までの全ての層で求められるのがスキルになります。

ヒューマンスキルは専門職レベルのだけでなく、多職種との専門職を繋ぐスキルでもあります。

コンセプチュアルスキル

コンセプチュアルスキルとは「概念化能力」とも言われ、問題発見・解決・分析・戦略立案といった、物事を概念的・抽象的にとらえるスキルで、上層部に行くほど、必要なスキルとなります。

上層部に行くにつれ、仕事を取り巻く環境を把握し、問題課題の本質を見極めて、解決策を練るといった役割を担うことが必要となります。

コンセプチュアルスキルは客観的な視点で、幅広い思考力を持つことが大切とされています。

コンセプチュアルスキルは上層部だけでなく、下層部のスタッフにも少なからず求められます。

下層部ではテクニカルスキルに走る傾向がありますが、それが結果として上下での温度差が生まれる結果となると考えています。

経営やマネジメントの知識を初期段階から学ぶことで、のちの自分の存在価値の向上につながります。

まとめ

いかがでしたか。

病院・施設での自身の存在価値を高めるには、「カッツモデル」のフレームワークを考えて行動することが重要になります。

セラピストは「テクニカルスキル」に走りやすい傾向にあり、私も実際研修付けの10年間を過ごして来ました。

しかしそれだけでは職場内での存在価値は上がらず、職能資格制度のランクが上がる程度ではないでしょうか。

若いセラピストほど、スキルにプラスして、「コンセプチュアルスキル」と「ヒューマンスキル」を是非学んでほしいと思います。

  • この記事を書いた人

田中 宏樹

After Reha代表の田中宏樹です。医療保険、介護保険分野のそれぞれで経験を積みながら、経営・マネジメントの勉強・情報発信も行っています。認定理学療法士(脳血管・運動器)/ ドイツ筋骨格医学会認定マニュアルセラピスト / PNFアドバンスコース(3B)修了 / FBL Klein-Vogelbach 1,2a+b修了 / 成人ボバースアプローチ基礎講習会修了 / 健康経営EXアドバイザー /企業経営アドバイザー/作業管理士

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