健康のため「ウォーキングをしましょう」と言われたことはありませんか?
年齢問わずウォーキングは世界的に推奨されています。
ダイエットにしても、健康維持にしても、どんな場面でもウォーキングを推奨する論文や書籍はとても多くあります。
ではなぜウォーキングをすることがカラダにとって良いのでしょうか?
今回はウォーキングのメリットと効果、正しい実施方法についてお伝えしていきます。
なぜウォーキングがよいのか?
ウォーキングが良いという事は誰もが知っているはずです。
では、その理由を説明できるでしょうか?ここではまず、ウォーキングのメリットについて見ていきましょう。
メリット1:誰でも簡単に行える
私たちは生後1年ぐらい経過すると、立ったり歩き始めることができます。
この歩くという動作は、カラダが健康である限り続くものです。
近所に買い物にったり、通勤で歩いたりと普段から歩いているからこそ、いつでも手軽始められ、継続しやすい運動となっています。
また負荷量が多くないため、運動がキツイと感じる方にも行いやすいものとなっています。
メリット2:体への負担が少ない
ジョギングやランニングなどは筋力が十分ないと、腰や足などカラダへの負担が大きくなってしまいます。
筋力以外の要因ももちろんあり、背骨の硬さや筋の柔軟性など問題も含め、ランニングを始めて膝が痛くなったというのはよく耳にします。
一方ウォーキングは全身への負担が少なくない運動であり、加齢によって筋力が減ってきている方であっても疲労を溜めず、早歩きでもない限りカラダを痛めることがほとんどありません。
また持病のある方や、術後の方でも負担が少ないため、安全に行えるのもメリットと言えるでしょう。
(もちろん主治医への確認は行うべきです。)
メリット3:お金がかからない
ウォーキングのメリットはお金がかからない点も挙げられるでしょう。
ジョギングなどはどうしても服装を気にしたり、足に負担がかからないように良い靴を買ったりと思っている以上にお金がかかる場合があります。
でもウォーキングであれば、特殊な道具は必要なく、歩ける格好であればどんな服装でもOKです。
あえて言うなら靴だけは歩きやすいシューズを選ぶ必要があるでしょう。
ウォーキングの効果
ウォーキングにはさまざまな効果があることが報告されています。
ダイエット効果
ウォーキングの有酸素運動がダイエットに効果があると聞いたことがある方も多いのでは?
ウォーキングによる有酸素運動は脂肪燃焼効果があります。脂肪燃焼によるダイエット効果を期待するなら、30分以上を中等度の負荷量で歩くのが理想的です。
ウォーキングによる全身の筋肉を使うことによる血流改善も基礎代謝に関連します。
ただダイエットは食事量によっても大きく左右されるので、ダイエット効果を期待するならウォーキングだけでなく食事コントロールも必須となってきます。
ダイエットに興味のある方は、超効果的な「HIIT」についてもご覧ください。
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生活習慣病の改善・予防
高血圧の改善
ウォーキングには高血圧の発症を予防・改善する効果が期待されています。
少しきつめのウォーキング(時速6km)を続けていた人は、高血圧の発症リスクが30%減少した報告がまず1つ挙げられます。
またウォーキングなどの有酸素運動を週に3〜5回、30分程度、筋力運動と同時に行うと収縮期血圧が減少することがアメリカの高血圧治療ガイドラインでも報告されています。
高血圧の治療は薬や食事療法と併用することが大切になりますので、それらの治療と並行しながらウォーキングを取り入れることで高血圧の改善が期待できます。
高血圧についての記事はこちら↓
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血糖値の改善
アメリカの研究では、1日に1万歩を超えている人は、歩数が5000〜7000歩の人に比べて、血糖値が低く、肥満が少ない傾向が報告されています。
また1分間あたり100歩のペースでウォーキングをする人たちも、血糖値の結果が良かったことが報告されています。
食後は血糖値が急激に上昇しますが、ウォーキングを食後10分間程度行うことでも、血糖値の上昇が12%ほど抑えられるため、血糖値が高めの人は食後に10分程度ウォーキングを行ってみるのも良いでしょう。
厚生労働省の方では、血糖値改善のために1回15分〜30分間、1日2回の運動が推奨されています。
(出所)厚生労働省 e-ヘルスネット「糖尿病を改善するための運動」
コレステロール値の改善
ウォーキングは悪玉コレステロール(LDL)だけでなく中性脂肪も下げる効果があります。
ウォーキングなどの有酸素運動を週120分ほど行うと、善玉コレステロール(HDL)の量が増えることも報告されています。
日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2018年版」には、高脂血症のための生活習慣の改善には有酸素運動を中心とした運動や身体活動があげられているので、1日30分(10分×3回=30分でもOK)以上の運動を少なくとも週3日は実施することを厚生労働省も推奨しています。
(出所)厚生労働省 e-ヘルスネット 「脂質異常症を改善するための運動」
コレステロールと関係の深い動脈硬化について↓
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認知症発症のリスクが低下
認知症は脳の病気や障害により、認知機能が低下し日常生活に支障をきたす状態ですが、治療が困難な認知症もあり予防がとても重要となります。
脳血管障害で発症する認知症や、アルツハイマー型の認知症など、どちらにおいても生活習慣病の予防が大切とされています。
認知機能は糖尿病とも関係があり、糖尿病の検査でよく使用されるHbA1cの数値が高いと認知機能が低下している報告があります。
糖尿病に関係する血糖値は先に述べたように、ウォーキングで下げられることがあるため、生活習慣病予防のためのウォーキングは認知症発症の予防に期待できます。
筋力・体力の維持・向上
ウォーキングで筋力はつかないと言われていますが、通常のウォーキングではなく早歩きを取り入れれば、筋力量の減少と筋力低下は予防できます。
この方法により、太ももの筋力を向上させることが可能であることや、体力の構成要素である最大酸素摂取量が向上することも報告されています。
1日15分間のインターバル速歩を5ヶ月間、週4日以上行った場合になりますが、ウォーキングに早歩きを取り入れることで筋力や体力の維持向上につながるのです。
ただし筋力が弱い場合は、足に負担がかかってしまうので、実践して痛みが出るようであれば、荷重のかからない筋力トレーニングと通常のウォーキングを組み合わせた方がよいでしょう。
ストレス軽減効果
ウォーキングに限らず、運動にはストレス軽減効果があります。
特に有酸素運動がストレス緩和に適している言われており、ウォーキング以外にもサイクリングやダンスなどが良いとされています。
ウォーキングについて言えば、朝に太陽光に光を浴びながらウォーキングをすることで幸せホルモンである「セロトニン」が分泌されます。
セロトニンは精神の安定や安心感を与えてくれる物質でもあり、夜間には睡眠ホルモンである「メラトニン」の元になるホルモンです。
良質な睡眠がとることもストレス軽減には重要なため、ウォーキングのような一定のリズムが繰り返される運動はセロトニンの分泌にとって効果的なのです。
ウォーキングの正しい実施方法
歩く姿勢
ウォーキングを実施する際は、正しいフォームで行うことが大切です。
ウォームが崩れると、関節などへの負担から痛みが出現し、運動を習慣化することができなくなる可能性があります。
ウォーキング時の姿勢で注意することは、
ポイント
- 頭の位置がブレない
- 肩甲骨からうでを振る
- 腰を伸ばして胸を軽く張る
- 膝に力を入れすぎない
- 踵から足をつく
- 歩幅が広くなりすぎない
- 足の指先で地面を蹴り出す
これらの姿勢に注意しながら一定のリズムでウォーキングを行うことが、基本的な実施方法です。
慣れるまでは速度を上げずに、姿勢に意識を向けて行うようにしましょう。
実施頻度
ウォーキングはどれくらいの頻度で行うのが理想的なのでしょうか。
ウォーキングを実施する目的にもよりますが、1回30分以上のウォーキング週に3〜5回実施するのがよいでしょう。
WHOによると、18〜64歳の成人の場合、中程度の強度の有酸素運動を少なくとも週に150〜300分行うことを推奨しています。
また厚生労働省は、生活習慣病予防のために男性で1日約9,000歩、女性で1日約8,000歩を推奨していますが、実際は成人男性の1日の歩数は約6,800歩、女性は5,800歩程度となっています。(平成29年 国民健康・栄養調査結果の概要)
歩行速度は通常10分で約900〜1,000歩ほどになるので、目標達成のためには30分程度のウォーキングを週に5回は取り入れることで目標を達成できるでしょう。
おわりに
ウォーキングは続けることは、とても多くのメリットを私たちのカラダにもたらしてくれます。
老若男女関係なく、そして特別な道具も必要なく、すぐにでも始められる運動なので、方法と頻度に注意して実践してみくださいね。
なお、現在持病のある方は主治医や専門医と相談したほうが良い場合もありますので、確認してから始めましょう。
参考文献
・High fitness level reduces chance of developing hypertension. American Heart Association December 17, 2014
・Stephen P Juraschek、et al:Physical Fitness and Hypertension in a Population at Risk for Cardiovascular Disease: The Henry Ford ExercIse Testing (FIT) Project.J Am Heart Assoc . 2014 Dec;3(6)
・Short walks after meals may prove important tool in managing diabetes.18 October 2016
・Fanfan Zheng,et al:HbA1c, diabetes and cognitive decline: the English Longitudinal Study of Ageing.Diabetologia. 2018; 61(4): 839–848.
・Nemoto,k, et al:Effects of high-intensity interval walking training on physical fitness and blood pressure in middle-aged and older people.Mayo clin Proc.2007 Jul;82(7):803-11