リモートワークやスマホで急増!?首の痛みの原因と3分間の簡単セルフケア

肩コリと並んで多いのが首コリ。首の筋肉と肩の筋肉は繋がっているものも多く、肩コリ・首コリはセットで問題になりやすいですが、首コリは長時間続くと痛みにつながることもあります。

 

リモートワークや外出自粛でスマホ・パソコンを眺める時間が増え、首の痛みを訴える方が増えているようです。

 

今回は、そんな首の痛みの原因を解説し、簡単に出来るセルフケアについてお伝えしていきます。

首の痛みやコリは姿勢が原因?

 

首の痛みを経験したことが誰しもあるのではないでしょうか。「寝違え」や「肩コリからの首の痛み」など、身に覚えの方もいらっしゃるでしょう。

 

首は重たい頭を常に支えているため、ちょっとした頭の傾きで過度に負担がかかるような構造になっています。

 

頭の重さは成人であれば、体重の10%程度とされており、体重60kgの方であれば6kg程度になります。

 

これを寝ている時間を除いた約16時間支え続けなければならないので、ちょっとした負担が首の筋肉や関節に蓄積して痛みを誘発してしまいます。

 

首の構造

首の骨は小さな7個の骨で構成されます。

 

骨と骨の間には「椎間板(ついかんばん)」が存在し、衝撃を吸収するクッションの役割を担っています。

 

これらの組織から成り立っている首は、通常後方に反るような形で7つの骨がカーブしていなければなりません。

 

首のカーブを維持できなければストレートネックと言われる、カーブのない首になってしまいます。

 

 

スマホやパソコン作業が続くと、猫背となりストレートネックになりやすくなります。

このストレートネックによって頭をしっかりと支えることができなくなることが、肩コリや首の痛みの原因となっています。

 

肩コリや首の痛み以外にも、椎間板に過度にストレスがかかると、椎間板の中にある「髄核」が外に突出し神経を圧迫する「頸椎ヘルニア」を引き起こすことがあります。

また首への負担が頸椎を変形させ、変形性頚椎症と言われる状態になることもあります。

 

これらの病気になると、手足のしびれや痛みが出現したり、筋力が著しく低下するなど日常生活に支障を来たす可能性があります。

 

頸椎の病気

頸椎椎間板ヘルニア

頚椎の間にあるクッションの役割をする椎間板が破れて、椎間板の中にある髄核が外に飛び出し、各神経を圧迫するのが頚椎椎間板ヘルニアになります。

ヘルニアが神経を圧迫することで、肩コリ、手足のしびれなど軽度なものから、筋力の低下や歩行困難、尿や便の感覚がわからなくなるなど重症なものもあります。

原因としては、加齢によるもの、姿勢不良、コンタクトスポーツなどの激しい運動があげられます。

頚椎症性脊髄症

加齢に伴って頸椎が変形することを「頚椎症」と言いますが、頚椎症によって、脊柱の中を通る脊髄(頚髄)が圧迫される病気が頚椎症性脊髄症になります。

なお、脊髄ではなく神経根と呼ばれる部位が圧迫されると「頚椎症性神経根症」と呼びます。

これらは加齢によって起こることが多く、筋力や感覚麻痺などの症状が起こります。頭をうしろに反らすような動作で症状が増悪し、重度化すると歩行困難に陥ることもあります。

脊柱後縦靱帯骨化症

脊椎は靱帯に安定するように支えられていますが、背骨の中心となる椎骨を後方で支えている後縦靱帯が骨のように硬くなることをいいます。

骨のように硬くなった後縦靱帯によって、脊髄が圧迫され神経症状を引き起こします。

後縦靭帯骨化症は厚生労働省に特定疾患として難病指定されています。

(参考)厚生労働省 指定難病

 

首の負担は「背中と肩甲骨」から

首コリや首の痛みの原因はなんでしょうか。

 

首の病気が原因のこともありますが、初期症状の原因の多くは「姿勢」が最も影響しています。姿勢不良から頸椎に負担がかかり、頸椎が変形したりすることで症状を引き起こす原因になっています。

 

ストレートネックは、頸椎の自体の形状ではなく、背骨全体のバランスや胸椎の位置関係に強く影響を受けるとの報告もあります。

(出典)前川麻人 ら:ストレートネック発生と全脊椎矢状面アライメントの関係.Journal of Spine Research 8(3): 622-622, 2017.

 

つまり、首だけではなく背骨全体の位置関係が首の痛みや首コリに影響していることになります。

 

ストレートネックの原因となる背骨をまずは正すことが、症状軽減を軽減させる最初のステップになります。

 

また私たちは小さい頃から、長時間机に向かって勉強したり、最近ではパソコン作業が増えたことによる「肩甲骨」の動きが減少したことも影響しています。

 

机に前腕(肘から手首まで)を着いた状態で勉強や仕事をすることで、背中が丸くなり肩甲骨が動かなくなります。

 

日本の生活様式も首コリなどの原因になっているのです。

(参考)竹井仁:肩こりに対する私のアプローチ法「運動療法・理学療法の重要性」.MB Orthopaedics 29(9): 59-68, 2016.

 

3分で改善!!首の痛みのセルフケア

「背骨」と「肩甲骨」が原因ということがわかったので、続いてセルフケアの方法についてご紹介していきます。

 

道具があれば便利ですが、特別なものは一切使わず、いつでも、どこでも行える方法になりますから、すぐに実践してみましょう。

 

セルフハグ

  1. 両手で反対側の肩甲骨とそれぞれ触ります。
  2. 触れた状態で、胸を突き出すようにして肩甲骨を背骨の中心に寄せます。
  3. 10秒間力を入れたら、5秒間休憩する運動を3セット行います。

ココがポイント

力を入れるときは、あごを引きながら運動しましょう。

 

S字エクササイズ

 

  1. 片方の手は手のひらを頭の後ろに、もう片方は手の甲を腰にあてます。
  2. それぞれの手を水平移動させるように、反対側に動かします。
  3. 肩の位置付近まできたら、5秒間止めて、5秒間休憩します。この運動を3セット行います。
  4. 3セット終了したら手を入れ替えて同じ運動を行います。

ココがポイント

肘も手と同じ高さで水平移動するようにしましょう。

 

あご引きエクササイズ

  1. 手を合わせて、両手の親指をあごの下に当てます。
  2. あごを引きながら、親指を押すように力を入れます。
  3. 10秒間力を入れたら、5秒間休憩する運動を3セット行います。

ココがポイント

頭が垂直に保たれた状態で行うようにしましょう。

 

腰伸ばしとハムストリングスのストレッチ

  1. 椅子の前に腰かけ、片方の足を膝を伸ばして前に出します。
  2. つま先を上げながら、骨盤を起こします。
  3. 骨盤を起こしたまま、胸を張って体幹を前に倒します。
  4. 30秒間太ももの裏をストレッチします。
  5. 30秒経ったら、反対側の足も同じように行いましょう。

ココがポイント

頭が垂直に保たれた状態で行うようにしましょう。

 

おわりに

セルフケアを行うことも大切になりますが、日常生活での姿勢も注意する必要があります。

 

鏡をのぞきこむような姿勢や、顎を突き出した状態でのパソコン作業など、日常には姿勢不良を引き起こす動作が多く存在しています。

 

同じ姿勢を長時間取らないように注意しつつ、可能な限り一定時間経過したらカラダ全身を動かすような運動時間を作ることが大切です。

 

体幹トレーニングも継続すれば、姿勢不良を回避できるので、こちらの記事も参考にしてみて下さい。

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参考文献

・竹井 仁:姿勢の教科書.84-100,ナツメ社,2015.

・鈴木俊明ら:The Center of the Body -体幹機能の謎を探る- 第3版

・竹井 仁:肩こり.総合リハ.40(4):329-336,2012

・竹井仁:リハビリテーション1物理療法.肩こりの臨床一関連各科からのアプローチー.森本昌宏編.198-205,克誠堂出版,2013,

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