転倒による骨折で要介護状態となる方が多いのはご存じでしょうか。
今までは元気に生活していたのに、突然転んで骨折してしまい、歩けなくなった。
もしくは杖や付き添いがいないと外出することが出来なくなったなど、転倒すると日常生活に大きな問題が生まれてきます。
実際に転倒して外傷がなくても、動けなくなったなど骨折を伴わなくても動けなくなる要介護者もデイサービスではいらっしゃいます。
今回は、日常生活に大きな影響を及ぼしてしまう、転倒について見ていきましょう。
転倒するとどうなる?
転倒するとどういった症状がおこるのでしょうか。
転倒すると起こりやすい症状や疾病として
- 骨折(大腿骨頸部骨折、橈骨遠位端骨折、上腕骨近位端骨折、脊柱圧迫骨折など)
- 打撲
- 捻挫
- すり傷、切り傷
- 頭部外傷(外傷性クモ膜下出血など)
などがあげられます。
特に骨折や頭部外傷においては手術を必要とするほど、深刻な問題となることもあります。
実際の病院では転倒して外傷性脳出血や外傷性クモ膜下出血、大腿骨頸部骨折、脊柱の圧迫骨折の方が多い印象でした。
その中でも、骨折は特に多いですね。
入院期間も長くなるため、転倒には十分注意が必要となります。
転倒を予防するには?
こちらは、また別の記事で細かいお話をさせていただきたいと思いますが、大高は地域高齢者の転倒予防にエビデンス(根拠)のあるアプローチを紹介しております。
それによると
- 運動(グループ,個別)
- 家屋評価・改修(専門会に家の状況をチェックしてもらう、手すりを付けたりするなど)
- 精神作動薬漸減(精神系の薬の調整をしてもらう)
- 頸動脈洞過敏症に対するペースメーカー(迷走神経という神経が過剰に反応し、失神してしまい転倒に至る)
- 初回白内障手術
- 積雪地帯での靴の工夫(すべりにくく?)
- 通常の足診療に加えて足の運動など多面的介入
- 家庭医への内服処方指導
などが挙げられています。
大高 洋平:高齢者の転倒予防の現状と課題 Fall Prevention in Older People : Present and Future Perspectives 日本転倒予防学会誌Vol.1:11-20 2015より
いずれにしても、転倒しないように薬の調整や運動、環境への働きかけで転倒予防に取り組もうとしています。
リハビリ職からの視点では、やはりフレイル「Frailty(虚弱)」といわれる”老化に伴い、健康な状態と要介護状態の中間で、身体機能や認知機能が低下している状態”をいかに予防、改善するかが重要だと感じます。
フレイルについてはまたの機会に触れたいと思いますが、フレイルによる要介護状態になるのを防ぐことで、結果として転倒予防にもつながると考えています。
30秒で転倒リスクをチェックしよう
転倒のリスクを評価する指標にはいろいろありますが、実際に動かずとも紙面上で確認できるものがあります。それがFRI(Fall Lisk Index)といわれるものです。
こちらは、たった5つの項目で転倒リスクを評価する簡易的なものになります。
自分で今すぐにチェックできるので、内容を見ていきましょう。
上記の5つの項目について「はい」と答えた横の点数が、6点を超えると転倒の危険性が高いと判断されます。
FRIは他の検査を行わなくとも転倒予測が十分にできるとされています。
非常に簡単ですが、FRIは老年症候群(医師の診察や介護・看護を必要とする症状・徴候)や環境による影響のほか、転倒にかかわる多くの問題も考慮されているため、より包括的な転倒評価ツールとなっています。
細かいことを言えば、転倒ハイリスクの方を発見するためのツールで、21項目のFRI問診票というともありますので、もっとしっかりチェックしてみたいと思う方はそちらもチェックしてみると良いでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
転倒で骨折や脳への損傷を受けた方を病院で勤務しているときは、よく経験していました。
転倒による骨折や外傷を受けると、以前の生活に戻ることが出来ず、生活の質がどうしても低下してしまいます。
今回のFRIのチェック項目を参考に、ご自身の転倒予測を是非行ってみてください。