「心筋梗塞」
心筋梗塞とは、心臓を取り巻く血管「冠動脈」が動脈硬化などにより、血栓が形成されて動脈が詰まることで起こる病気です。
心筋梗塞のほかに、症状が3~5分程度で軽快する「狭心症」もよく耳にすると思います。
H26年度患者調査の概況によれば、心臓の疾患を有する患者さんは172万人といわれており、
男性・女性ともに増加傾向にあるとされています。
その年間医療費はなんと7430億円とのこと。
(出典):H26年患者調査の概況(厚生労働省)
こう考えると医療費が非常に莫大であることがよくわかり、各々が気をつけて健康管理する必要があると思います。
今回は、「心筋梗塞」をテーマに、「狭心症」の話も少し交えながら述べていきます。
心筋梗塞の原因
心筋梗塞は発症する前から、「動脈硬化」が進行している患者さんが発症しやすい傾向にあります。
動脈硬化が起きている部位の血管(コレステロールが溜まっている部位)に傷が入ることで血栓ができます。
この血栓により冠動脈とよばれる心臓を取り巻く血管が詰まることで、心臓の筋肉に栄養がいかなくなり、心臓の筋肉が壊死する病態です。
心筋梗塞は心臓の主に左側の心臓の筋肉に生じるとされています。もちろん血管が詰まる部位によっては右側も障害されます。
この心筋梗塞が恐いのは、重篤な不整脈(心室細動)や心不全、ショック状態に陥ることで突然死のリスクが高まるということです。
突然死のリスクが30~40%あるという報告もあります。
またタイプAと呼ばれる性格をお持ちの方は、心疾患のリスクが高くなるとされています。
しかしこれは生活習慣病を有している方であれば、という話しが前提となります。
心筋梗塞の症状
「心筋梗塞」と「狭心症」はともに冠動脈が原因により発症します。
特徴的な症状を下記に記載します。
「狭心症」と「心筋梗塞」を区別するのに特徴的なものが、持続時間と薬の有効性があります。
持続時間が長い場合や、ニトログリセリンという薬が有効でない場合は心筋梗塞の可能が非常に高くなります。
また痛みの出現が左肩や首にまで広がるため、整形外科を受診される方も多いようです。
心筋梗塞の治療
・狭心症の場合は、ニトログリセリンという薬を舌の下に置いて利用できますが、心筋梗塞の場合はこのニトログリセリンが有効でないため、他の方法で治療を行います。
1.再灌流療法
心筋梗塞の発症が超早期(6時間以内)であれば、心臓を取り囲む冠動脈の血管内の詰まりを取り除く再灌流療法が有効であるとされています。
再潅流療法は具体的に以下2つに分けられます。
血栓溶解療法
血管内にできた血栓を薬剤で溶かす方法で、脳梗塞の治療などにも用いられます。
冠動脈形成術
腕や股関節付近からカテーテルを用い、血管の中にステントと呼ばれる金属を入れて血管内を広げる方法などがあります。
余談ですが、ステント以前金属をそのまま入れていましたが、再度詰まることが多かったようで、最近はステントに薬剤を塗って血管内に留置することで、劇的に詰まりが解消されました。
2.冠動脈バイパス術
太い血管が詰まった際などは、外科的に詰まった血管を迂回する冠動脈バイパス術が行われます。バイパスを作るために太ももの内側から血管を採取したり、心臓の上を走行している動脈(内胸動脈)を用いて詰まった血管を迂回する血液のバイパスを作ります。
カテーテル治療は数日で退院することが可能ですが、冠動脈バイパス術の場合には2週間程度と入院期間が長くなる傾向です。
心筋梗塞などの治療後はリハビリを行うことも重要となります。
これは術後などから普段通りの日常生活に戻れるように、体を慣らしていくために必要なことで、階段を術後すぐ登ろうとすると、息切れや冷や汗が出るほど心臓は機能が低下しています。
まとめ
いかがでしたか?
心筋梗塞は生活習慣病から動脈硬化などが進行することで発症します。
治療方法にも、カテーテルを用いた治療や血栓を溶かす薬での治療など方法はいくつかありますの、自身にあった治療方法を主治医と相談して探してください。
また1度心筋梗塞が起こると、再発のリスクもありますので生活習慣を見直すことも重要です。