月々の生命保険料いくら払っているかり覚えていますか?
「保険は大切だから・・・」と知らず知らずのうちに、多くの生命保険料を支払っているケースも少なくありません。
今回は健康と生命保険の関係性や、正しい付き合い方について解説していきます。
健康と健康寿命
健康寿命は「健康で日常生活を支障なく送ることのできる期間」のことで、平均寿命よりも先に訪れる寿命になります。
健康寿命と平均寿命
日本の平均寿命は2017年においては、男性:81.09歳、女性:87.26歳となっています。
(出典)厚生労働省 平成 29 年簡易生命表の概況
一方、健康寿命については、2016年で男性:72.14歳、女性:74.79歳となっています。
(出典)厚生労働省「第11回健康日本21(第二次)推進専門委員会資料」
この平均寿命と健康寿命の差ですが、この期間は何らかの介護を必要とする期間と言えます。
過去の統計データを見ても、平均寿命・健康寿命は延びていますが、この平均寿命と健康寿命の差はさほど縮まっていません。
健康寿命についてはこちらの記事もご覧ください。
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健康と保険の関係
平均寿命と健康寿命の差は、9~12年ほどありますが、この差が拡大すると医療費や介護給付費の支払う期間が増えることになり、出費がかさみます。
そこで登場するのが保険です。
特に生命保険は日本人のほとんどが加入している保険になります。
生活保障に関する調査
生命保険文化センターの令和元年度「生活保障に関する調査」によると、生命保険に加入している割合は、男性で81.1%、女性では82.9%となっています。
(出典)公益財団法人 生命保険文化センター令和元年度「生活保障に関する調査」より作図
20代を除く、ほとんどの年齢で生命保険に加入していることがわかります。
生活保障に関する調査
また同じく、生命保険文化センターの令和元年度「生活保障に関する調査」によれば、生命保険・個人年金保険に関している人の年間払込保険料は平均19.6万円となっています。
年間払込保険料の平均は、男女とも50歳代(男性29.3万円、女性20.6万円)で最も高額となっています。
(出典)公益財団法人 生命保険文化センター令和元年度「生活保障に関する調査」
年間の保険料に掛けている額は非常に大きな額となっています。
参考
生命保険は大きく分けて4つに分けることができます。
①死亡保険
被保険者が死亡、または約款に定めれた高度障害の状態になった際に保険金が支払われます。
②生存保険
被保険者が保険の満期まで生存していた際に、契約時に定められた保険金が支払われます。
例)学資保険、個人年金保険
③生死混合保険
死亡保険と生存保険を混合した保険で、保期間中に被保険者が死亡または高度障害になった際は、「死亡保険金」が、保険期間満期日まで生存していた際も「満期保険金」が支払われます。
例)養老保険
④その他
病気やケガ、入院や手術などに備える「医療保険」,「がん保険」。また病気やケガをすることで収入が減少することに備えた「就業不能保険」などがあります。
保険の考え方
健康とお金を考えるうえで外せないのが生命保険ですが、どのように関わっていけばいいのでしょうか。
まず以下の図を使って、保険の考え方について解説していきます。
保険の考え方
保険は「発生する確率が低いが、起こってしまうと大きな損失となる」場合に加入するのが鉄則です。
そのため、
・「発生する確率が低く、起こってしまっても損失が小さい」
・「発生する確率は高いが、起こっても損失が小さい」
これらの場合は、貯金を取り崩して対応する方が賢明だといえます。
「発生する確率が高く、起こってしまうと損失も大きい」場合は、そもそも発生する確率が高いため、危険に近づかないようにする必要があります。
この考えは生命保険だけでなく、自動車保険などにも当てはまるので、「発生する確率が低いが、起こってしまうと大きな損失となる」が保険の対象ということを忘れないようにしましょう。
健康から考える生命保険との正しい付き合い方
健康に気を使っているのに、高額の生命保険を支払っているのは正しいのでしょうか。
そもそも健康で過ごすことができれば、保険料が高額な生命保険に加入する必要はないはずです。
ですが、保険は「病気やケガのリスクが低い人ほど保険に加入する傾向が強い」という現象もみられることがあり、健康意識が高いことが保険へ加入してしまう要因ともなっています。
万が一に備えるならまだしも、貯蓄型の保険に加入する方もいます。
独身の方であれば、そもそも生命保険に加入する必要はありません。
また家族がいる家庭でも、子供が独立したり、年金を受け取るタイミングなどライフスタイルが変化することを考慮することが大切です。
貯蓄目的なら資産運用のために投資をした方がよく、加入するのであれば、家族状況・年齢を踏まえて最低限の保険を掛けるのがベストでしょう。
日本の医療保険制度
日本の医療保険制度は、保険証1枚で医療受けることができる「国民皆保険制度」があります。
医療機関の窓口で払う医療費は原則3割ですし、年齢や所得に応じて月の医療費負担額が決まっており、上限額を超えると、その超えた額を支給する「高額療養費制度」もあります。
(参考)厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html
また、万が一亡くなってしまっても、遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)といった年金制度があることも知っておくべきでしょう。
(参考)日本年金機構 遺族年金 https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/izokunenkin/jukyu-yoken/20150401-03.html
生命保険への加入と、ご自身の健康やへの投資はどちらが大切でしょうか。
健康寿命を延ばし、資産運用で老後資金を確保する方が人生100年時代を生きていくには大切ではないでしょうか。
運動不足や活動量の低下は生活習慣病との関連も深く、運動は病気の改善にも寄与します。
また余暇における運動量の増加は、13種のがんのリスクを低下させるとの報告もあります。
(出典)Moore SC, et al. Leisure-time physical activity and risk of 26 types of cancer in 1.44 million adults. JAMA Internal Medicine. May 16, 2016. DOI:10.1001/jamainternmed.2016.1548.
インターネットが普及する現在ですので、これらの情報を吸収し、知識を得ることも人生100年時代には重要かもしれません。
最後に生命保険の中でも、避けた方がいい「貯蓄型保険」について解説していきます。
貯蓄型保険には加入しない
貯蓄型保険とは?
貯蓄型保険は、保険という特性にプラスして同時に貯蓄も行うというものです。
正確には払い込んだ保険料の一部が貯蓄に回っている形になります。
貯蓄型保険の種類
貯蓄型保険は大きく分けると4つに分類できます。
貯蓄型保険
終身保険
生涯にわたって契約した内容の一定額の保障が続く保険で、万が一死亡した際は死亡保険金を受け取ることが出来ます。
最もよく加入されている保険の1つではないでしょうか。
終身保険とよく比較されるのが定期保険です。
こちらは一定期間の保証となっています。
終身保険は生涯保障するということで、一定期間の保障しかない終身保険よりも保険料が高くなります。
また貯蓄型と言われていますが、途中解約すると支払った保険料より解約返戻金が少なくなります。
養老保険
養老保険は、万が一死亡しても保険金を受け取ることが出来ますが、保険期間満了まで死亡せずに生存した場合には、満期保険金を受け取ることができる貯蓄型の保険です。
保険期間には、○○歳満了(例:60歳満了)とするものと○○年満了(例:10年満了)とするものがあります。
一般的には終身保険よりも解約返戻金の額が高く設定されています。
裏を返せば終身保険よりも保険料が高く設定されているという事になります。
学資保険
学資保険は、こどもの将来に備えてかける保険で、高校卒業に合わせて受け取れるようにしている家庭が多いようです。
以前は学資保険の返戻率もよかったようで、110%を超えるものもありましたが、現在は以前ほど高くありません。
すべての学資保険で適応されるわけではありませんが、契約者が万が一死亡しても、その後の保険料の支払いを免除してくれるものもあります。
個人年金保険
老齢基礎年金や老齢厚生年金などの公的年金とは別に、個人で年金を将来受け取れるように積み立てていく保険です。
例を挙げる、65歳まで保険料を支払い続けて、65歳以降で年金を受給する考え方で、学資保険と同様に払い済み保険料よりも多い年金を受け取ることができるます。
老後の所得保障という意味合いですので、貯蓄型の意味合いが強いですが、死亡しても払い込んだ分の保険料がバックされる仕組みがあります。
貯蓄型保険に加入してはいけない理由
貯蓄型の生命保険は、解約したり満期を迎えると、定められている返戻率を基に保険金が受け取れます。
万が一に備えつつ、貯蓄も行っているので、貯蓄型保険は掛け捨て型に比べて保険料が高いなど月々の支払いが高額になります。
また途中解約すると支払った保険料以下の金額しか戻ってきません。
そのため貯蓄型の保険を利用してのお金を貯めることはお勧めできません。
「保険は保険」、「投資は投資」と分けて考える必要があります。
満期時に定額の金額をもらうことができても、満期時まで同額を投資していれば、『複利』によって受け取れる金額に大きな差が生まれます。
保険は貯蓄代わりに使うより、その保険料分で資産運用したほうが豊かな老後生活を送れる可能性が高いことは間違いないでしょう。
おわりに
健康維持と生命保険は逆相関があると私は考えています。
もちろん最低限の保険は必要であると認識していますが、医療・保険については恵まれている日本で多くの保険に加入することはオススメできません。
知識を深め、正しく保険と付き合うことが大切です。