【HSP】繊細さんが上手にコミュニケーションをとる方法

求人サイトを見るといつも「営業職」が募集されている印象がありますが、あなたもそう思いませんか?

 

営業職にとってコミュニケーション力は欠かせない要素の1つの要素なのは言うまでもありません。しかしスマホなどのデジタルデバイスが普及したい現代では、対人コミュニケーションが苦手な人も多い傾向にあります。

 

最近では「繊細さん」と言われる言葉もよく耳にするようになりました。

 

繊細さんは対人コミュニケーションが苦手で自分の意見が言えず悩んでいる人も少なくありません。今回はそんな繊細さんが上手に意見を伝える方法を論文を読み解きながら考えていきます。

繊細さんとは?

繊細さんはHSPさんとも言われ、「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の略になります

 

HSPはアメリカの心理学者エレイン・アーロンが提唱したもので、「些細な刺激に敏感であり,刺激過剰になりやすく,新奇刺激に対し次の行動を決める前にこれまでの経験と照合し,確認する傾向がある」とされています。

 

簡単に言えば「人の気質」の1つであり、非常に繊細で過敏な人のことを指しています。

 

HSPの特徴

 

HSPさんは対人コミュニケーションで悩んでいることが多く、「相手の顔色ばかりうかがってしまう」「他人の発言や行動を優先してしまう」「自分の意見を言えず、断ることができない」など、人間関係で疲弊してしまいがちです。

 

そんなHSPさんの特徴は以下のような項目があげられます。

HSPの特徴

  1. 丁寧で深い情報処理を行う
  2. 過剰に刺激を受ける
  3. 感情の反応が強く共感力が高い
  4. 他人の表情など、ささいな刺激にも反応する

 

また刺激に対して敏感で過剰に反応する傾向から、抑うつや不安が高いことが報告されています。

 

自分がHSPかどうかは、以下のサイトからもセルフテストが行えます。(日本語で受けられます)

Are You Highly Sensitive?(http://hspjk.life.coocan.jp/selftest-hsp.html

 

HSPとコミュニケーション

HSPは医学的な診断名ではありません。

そのため、これといった対策は精神科医の中でもないとされています。

 

病気ではなく、その人の「特性」であって、治る・治らないで済む問題ではないと私は考えています。

 

HSPさんは場の雰囲気や相手の行動などに過敏なため、違和感や混乱・疲労を感じやすい傾向にあります。

その特徴を理解したうえで、自分なりのコミュニケーション方法を身につける必要があります。

 

HSPのポジティブ面

HSPさんは自分の意見を伝えることをためらいやすい特徴があるため、どちらかと言えば「聴き手」に回る機会が多いのではないでしょう。

 

聴き手に回る機会が多い人の特徴として、情報収集能力も高く、それを吸収して処理することにも長けていることが挙げられます。

 

また大勢での仕事や、人前で話すことは苦手でも、少人数の中であれば能力を発揮しやすいといった特徴もあります。

 

さらに共感能力が高いため、グループ内の対立を未然に防ぐなど争いを避けてうまくマネジメントできる傾向もあります。

 

仕事全体においても、最後までやり抜き完璧主義の部分もあるとエレイン・N・アーロン博士は述べています。

 

以上のポジティブな面をまとめると

ポジティブ面

  • 聴き上手
  • 計画性が高い
  • 共感能力が高い
  • 情報感度が高い
  • 小さな変化に気づきやすい
  • 仕事の質が高い

 

ここからどのようにコミュニケーションをとるのがベストなのか考えてみましょう。

 

HSPさんに合ったミュニケーション

1:事前にどんな話をするか決めておく

HSPさんは計画性が高く、完璧主義な部分があるため事前にどんな話をするか決めておくとよいでしょう。

 

予測できない事象が起こることを嫌う傾向にあるため、あらかじめ準備しておけば心に余裕が生まれます。

 

HSPと自称している友人は電話をかけるのが苦手で、電話をかける前は必ずPCのメモ帳に何を話すかだけでなく、文章まで書いてそれを読むようにしています。

こうすることで、自分の聴きたいことを読むだけで済み、落ち着いて話を進めることができるようです。

 

計画性が高いHSPさんだからこそ、シミュレーションを繰り返すことでストレスを最小化できるでしょう。

 

2:一度意見を受け入れる

共感力の高いHSPさんは、人との争いを嫌います。

 

そのため自分の意見と相反する意見があると、それに対して自分の意見を伝えることが苦手なため、常に自分を押し殺しています。

 

HSPさんは過敏すぎるがゆえに、相違した意見をストレス刺激として感じやすいので、抑うつ気分を抱きやすい傾向にあります。

(Atras, G. D. (1994). Sensitivity to criticism : A newmeasureofresponses to everydaycriticisms. Journal of Psychoeducational Assessment, 12, 241-253)

(Boyce, P. M., & Parker, G. (1989). Development of a scale to measure interpersonal sensitivity. Australian and New Zealand Journal of Psychiatry,23,341-351.)

 

それなら初めから、手の意見を「とりあえず受け入れる」ようにしてみましょう。

 

意見を受け入れてから「私は○○がいいと思っていたけど、そういう考えもありますね。」とやんわりと意見を伝えることであれば、相手も嫌な思いもしませんし、自分も余計なストレスを抱え込まずに済むようになります。

 

孫氏の言葉には『百戦百勝は善の善なるものに非ず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり』というものがあります。

 

意見の食い違いで争って無駄な体力を消耗するよりも、相手の意見を受け入れることで争いを避けるというのも、「戦わずして勝つ」1つだと思います。

 

3:聴き手に回って意図を探る

2で上げたコミュニケーションの方法だけでは、不十分なこともあるでしょう。そんな時は自分の意見を伝えるよりも、質問をしながら相手の意図を探るよいいでしょう。

 

自分の意見と相違があった場合でも、質問しながら相手の意図を探ることで、やり方は違えど方向性は同じだったということがあるはずです。

 

また質問をすることは相手の意図を確認できるだけでなく、自分の考えをまとめる時間を稼ぐことにも繋がります。

 

実際聴き手に回った方が、相手からの印象もよくなる(承認欲求)ため、その後に自分の意見も伝えやすく通りやすくなることもあります。

 

質問を通してお互いwin-winとなる方向性を探るのもよいでしょう。

 

おわりに

HSPの方は5人に1人の割合と言われていますが、私の身の回りにはもう少し多く存在している印象があります。

 

私は医療職ですが、医療介護職の場合は他人への共感力や健康を思いやる心が大切になるため、HSPの方には向いている職業であると言えます。

 

医療介護職に限らず、今の仕事で悩んだり、合わないと思ったら転職活動するのもいいでしょう。

 

現在は転職サイトも多く、転職エージェントに登録してキャリアアドバザーが相談に乗ってくれます。

 

私も以前転職活動でお世話になったことがあるのですが、電話で年齢や経験にあったアドバイスをもらいましたので、気になる方はぜひとも登録することをおすすめします。

 

 

参考文献

・Aron, E. N., Aron, A.,(1997). Sensory-Processing Sensitivity and Its Relation Introversion and Emotionality. Journal of Personality and Social Psychology, 31. 181-197

・赤城 知里ら:感覚処理感受性とソーシャルスキル,精神的回復力の関連性の検討.東京成徳大学臨床心理学研究,17号,2017,59-67

上野・髙橋・小塩:Highly Sensitive Personは主観的幸福感が低いのか? Japanese Journal of Research on Emotions 2020, Vol. 27, No. 3, 104─109.

・Bakker, K. & Moulding, R. (2012). Sensory-processing  sensitivity, dispositional mindfulness and negative psychological symptoms. Personality and  Individual Differences, 53, 341346.

Atras, G. D. (1994). Sensitivity to criticism : A newmeasureofresponses to everydaycriticisms. Journal of Psychoeducational Assessment, 12, 241-253

・Boyce, P. M., & Parker, G. (1989). Development of a scale to measure interpersonal sensitivity. Australian and New Zealand Journal of Psychiatry,23,341-351.

 

 

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