発達が気になる子の「困りごと」、実は根本は同じかも?【理学療法士が解説】

  • 「階段の上り下りやボール遊びが、どうも苦手そうで」
  • 「集中が続かなくて、活動の切り替えのたびにかんしゃくが起きる」
  • 「友だちの輪に、なかなか入っていけない」
  • 「掃除機の音を嫌がって、パニックになってしまう」
  • 「朝の支度が、いつまでたっても終わらない・・・」

 

児童発達支援や放課後等デイサービス、園や学校の現場で、こうしたご相談をいただくことはありませんか。

 

どれも、毎日の生活に直結する切実な困りごとです。そして多くの場合、これらは別々の相談としていただくことがあります。運動のことは運動の相談、集団のことは集団の相談、というように。

 

でも、訪問先でお子さんのカラダを実際に見せていただくと、この5つが同じところでつながっていることがあります。その「同じところ」が、運動発達とカラダの感覚なんです。

 

この記事では、子どもたちの発達に関わる理学療法士として、5つの困りごとの背景にある「カラダの土台」についてご説明し、訪問先でどのような関わりをしているのかをご紹介します。

「できない」の手前に、カラダの土台がある

人のカラダには、目や耳よりも先に育つ感覚があります。ここでは3つ取り上げます。

①前庭感覚

傾きや回転、スピードを感じ取る感覚です。姿勢を保つ力を支えていると同時に、脳の目覚め具合、いわゆる覚醒レベルを調整する役割も持っています。

 

ぼんやりしている子も、そわそわして止まらない子も、この感覚が関わっていることがあります。

②固有受容覚

筋肉や関節が感じ取っている、自分のカラダの位置と力加減の感覚です。

 

目で見なくても手足がどこにあるか分かるのは、この感覚が働いているからなんです。

③触覚

皮膚で感じる感覚です。心地よさを受け取るだけでなく、「これは危ないかどうか」を瞬時に判断する役割も持っています。

 

この3つは、赤ちゃんが寝返りやハイハイ、四つ這いを重ねるなかで少しずつ育っていきます。

 

そして育ちきる前の段階では、姿勢が崩れやすかったり、力加減が定まらなかったり、人が近づくのを怖がったりすることがあります。

After Rehaが訪問先でしていること

椅子に座っていられないのは、「集中力がない」からではなく、まだ姿勢を保つ力が育っている途中だから。

 

友だちを強く押してしまうのは、「乱暴」だからではなく、力加減のメーターがまだ作られている最中だから。

 

そういう見方が成り立ちます。

 

「できない子」ではなく「育ち途中の子」。この切り替えが、支援の出発点になるのではないでしょうか。

 

そして見方が変われば、かける言葉も、用意する環境も変わっていきます。

 

After Rehaは、宮崎県内のご家庭・園・事業所に伺う訪問型の運動発達支援です。理学療法士として、次のような関わりをしています。

1. カラダの土台を見立てる

まず、姿勢の保ち方、動きのクセ、感覚の受け取り方を確認します。そのうえで困りごとの順番を整理し、「今どこから手をつけると変化が出やすいか」をご提案します。

土台が揺れているうちに細かい練習を重ねても、なかなか手応えが出にくいためです。

2. 生活の場面そのものを練習にする

近年の研究では、実際の生活課題に直接取り組む「課題指向型」の練習が、不器用さのあるお子さんへの介入として高い効果を示すことが報告されています。

そのため、訓練室での特別な運動よりも、階段を上る、靴を履く、箸を持つといった、そのお子さんが今つまずいている動作そのものを、できる大きさに分けて取り組みます。

3. 大人が教え込まず、本人が見つけられるようにする

国際的なガイドラインで推奨されているカナダ発の支援法CO-OPアプローチでは、大人が動作を教え込むのではなく、子ども自身が「どうすればうまくいくか」を発見できるように、支援者が横からガイドします。

自分で見つけた方法は忘れにくく、別の場面にも応用が効きます。何より「自分でできた」という感覚が積み重なっていきます。

運動が苦手なお子さんは、失敗の経験から自信を失いやすいと言われています。だからこそ、成功体験をどう設計するかが、支援の中身そのものになると考えています。

4. 遊びで終わらせず、生活につなげる

トランポリンやバランス遊びは楽しく、確かに効果もあります。ただ、遊びだけで完結させないことが大切だと、国際ガイドラインでも指摘されています。

跳んだあとの落ち着いた状態で課題に取り組む。粘土をこねた手で、そのままスプーンを持ってみる。遊びと生活を橋渡しするところまでが、私たちの役割だと思っています。

5. まわりの大人と一緒に考える

訪問という形をとっているのは、お子さんが実際に困っている場所で、そこにいる大人と一緒に手立てを考えられるからです。

ご家庭での関わり方、園での座席の配置、事業所での活動の順番。環境が少し変わるだけで、これまでより取り組みやすくなることがあります。

より具体的な内容は、noteでご紹介しています

今回ご紹介した3つの感覚について、「この感覚が弱いと現場でどう見えるのか」「では何をすればいいのか」を、実際の関わり方のレベルまで踏み込んでnoteの方ではお伝えしています。


  • 【固有感覚】「わざとじゃないのに、強すぎる」——力の加減が難しい子に起きていること

  • ブランコを怖がる子と、ぐるぐる回り続ける子。正反対に見えて、実は同じ感覚の話

  • 「うちの子、砂遊びを嫌がるんです」感触が苦手な子の世界とは?

  • 発達障害じゃなくても起きる。感覚の過敏さと家庭でできる関わり

  • 【保存版】「視力」がよくても勉強が苦手に?学習を支える「視覚と体」の秘密


支援者の方はもちろん、ご家庭でも試していただける内容です。よろしければ、あわせてご覧ください。

おわりに

5つの困りごとは、別々に見えて、同じ根っこから枝分かれしていることがあります。根っこの部分に目を向けると、「どう叱るか」ではなく「どう育てるか」という話に変わっていきます。

 

目の前のお子さんは、できない子ではなく、育っている途中の子です。その途中のどこにいるのかが分かれば、次の一歩は必ず見つかります。

 

After Rehaは、宮崎県内のご家庭・園・事業所を訪問し、お子さんの運動発達を支援しています。姿勢や不器用さ、感覚の困りごとについて気になることがありましたら、こちらからお気軽にお問い合わせください。


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