【発達】子どもの才能を開花させる!? 裸足育児の科学と実践ガイド」

子どもの成長において「裸足で過ごすこと」がもたらすメリットは、科学的な観点からも多くあります。裸足で活動することは単なる健康法ではなく、子どもの身体的発達や脳の働き、さらには情緒の安定や学習能力向上にも寄与する可能性があるのです。

 

今回はこれまでの研究結果を基に、裸足がもたらす具体的な効果やその実践方法について詳しく解説します。保護者や保育士の方々が実際に取り入れやすいアイデアもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

 

裸足で過ごす科学的メリット

1. 足の発達と運動能力向上

足は「第二の心臓」と呼ばれるほど重要な部位であり、裸足で過ごすことは足裏や足指の筋肉を十分に鍛え、自然な発達を促します。靴を履き続けると足指が制限され、偏平足や歩行障害のリスクが高まることが知られています。

 

一方、裸足で過ごすことで以下のような効果が期待できます。

土踏まずの形成

幼少期に裸足で過ごすと、土踏まず(アーチ)の形成が促進されます。これはバランス感覚や体幹の安定性に直結します。

筋力強化

裸足で歩くことで足裏やふくらはぎの筋肉が鍛えられ、運動能力が向上します。

バランス感覚の向上

裸足で地面を感じることで重心移動がスムーズになり、転倒しにくくなります。

 

関連研究

原田碩三教授(兵庫教育大学名誉教授)の研究では、「裸足教育」を受けた小学生は靴を履いている子どもよりも足裏の筋力が強く、姿勢や運動能力にも優れていることが示されています。また、「ミサトっ子草履」など日本伝統の履物を使用した場合でも同様の効果が確認されています。

 

2. 脳の発達と学習効果向上

裸足で過ごすことは脳への刺激にもつながります。足裏には約20万もの神経終末が存在していると言われています。

 

いろいろな地面を歩くことで足の裏から触覚刺激が脳に伝わります。この刺激は脳全体を活性化し、特に以下のような効果をもたらしてくれます。

集中力アップ

前頭葉(集中力や判断力を司る部位)が活性化されます。

空間認知能力向上

地面から得られる情報が脳内で処理されることで、身体位置感覚(固有受容感覚)が発達します。

感覚統合

異なる地面(芝生、砂利、タイルなど)を歩くことで感覚統合能力が高まり、学習効率にも良い影響を与えます。

 

関連研究

ノースフロリダ大学(2016年)の研究では、「裸足で走ることでワーキングメモリー(作動記憶)が16%向上する」という結果が示されています。また、ボーンマス大学スティーブン・ヘッペル博士による調査では、裸足で授業を受けた生徒たちにおいて集中力と学習意欲が高まったことが報告されています。

 

3. 情緒安定とストレス軽減

裸足生活にはリラックス効果もあります。足裏には副交感神経を刺激するツボが多く存在し、裸足で過ごすことで自律神経が整います。具体的には以下のような効果が得られると言われています。

ストレス軽減

副交感神経優位になることでイライラや不安感が軽減されます。

情緒安定

リラックスした状態になるため、落ち着きや安心感につながります。

睡眠改善

自律神経バランスが整うことで睡眠の質も向上します。

 

関連研究

「アーシング(Earthing)」という健康法では、大地との接触(裸足で地面に立つこと)がストレスホルモン(コルチゾール)の低下や免疫力向上につながるとされています。この考え方は自然療法としても注目されています。

 

裸足のメリットについては音声配信の方でも解説していますので、こちらも合わせてお聞きください。

 

裸足を取り入れる具体的な方法

1. 家庭でできる取り組み

  • 室内で裸足タイム

家では靴下を脱ぎ、フローリングや畳など異なる床材を歩かせてみましょう。これだけでも十分な刺激になります。

  • お風呂上りにマッサージ

お風呂後に親子で足裏マッサージを行うことで血流促進とリラックス効果があります。

 

2. 保育園・幼稚園でできる活動

  • 裸足遊びの日

芝生や砂場など安全な場所で定期的に裸足遊びの日を設けるようにしましょう。園庭で過ごす時は裸足になってもらうなど習慣化するのも良いでしょう。

 

遊びの中で、タオルギャザー(タオルを足指で引き寄せる)やビー玉拾いなど簡単なつかむ遊びや、足の指でのじゃんけんなどもいいでしょう。(チョキは結構難しいです!)

  • 感触遊び

「砂利道」「泥」「水たまり」など異なる感触を楽しむ遊びを取り入れましょう。水に濡れた地面の感覚と乾いたところの感覚の違いを識別するのにもよい経験になります。

  • バランスゲーム

「平均台」や「丸太渡り」などバランス感覚を鍛える遊びも足にとって良い体験になります。カラダと足の関係性を鍛えることになるので、身体機能を高めることにも繋がります。

 

 

3. 外遊びで自然との触れ合い

安全な環境(芝生、公園)では積極的に裸足で走り回らせましょう。自然との触れ合いは五感全体を刺激し、心身ともにリフレッシュさせます。

 

できれば凸凹したところの環境を選んだり、夏場は砂浜や河原にって不安定な場所で歩くことも効果的です。

 

裸足育児実践時の注意点

裸足で子供達が活動することは、カラダにも脳にも良いことがお分かりいただけたと思いますが、実施する際は十分な注意を払うことも必要です。

 

裸足での育児を実践する際は下記のことに注意するようにしましょう。

  • 安全第一

ガラス片や鋭利な物がない環境か確認しましょう。

  • 段階的導入

最初から長時間裸足にする必要はありません。少しずつ慣らしていきましょう。

  • 寒冷地対策

寒い季節には適切な保温対策を行いましょう。

  • 個人差への配慮

嫌がる場合は無理強いせず、その子どものペースに合わせて進めてください。

 

昔は小学生は裸足で校庭で遊んだり、裸足で運動会に出ることもありましたが、最近はケガのリスクがあることが考慮され、靴の着用が求められています。

 

おわりに

裸足育児は単なる健康法ではなく、「身体」「心」「脳」の三位一体となった成長支援方法です。日常生活に少しずつ取り入れるだけでも効果は十分期待できます。

 

また、安全性への配慮さえ怠らなければ、大きなデメリットもありません。現代社会では靴文化が当たり前となっていますが、その中でも自然本来の姿に立ち返り、大地とのつながりを感じさせる時間は子どもたちにとって貴重です。

 

ぜひこの記事を参考に、お子さまの日常生活や保育活動に「裸足」を取り入れてみてください。

 

参考

  • Alloway, T. P., & Alloway, R. G. (2016). The effects of barefoot running on working memory. Perceptual and Motor Skills, 123(2), 558-568.
  • Hollander, K., van der Zwaard, S., de Villiers, F., et al. (2018). Motor Skills of Children and Adolescents Are Influenced by Growing up Barefoot or Shod. Frontiers in Pediatrics, 6, 81.
  • Rao, U. B., & Joseph, B. (1992). The influence of footwear on the prevalence of flat foot. A survey of 2300 children. The Journal of Bone and Joint Surgery. British volume, 74(4), 525–527.
  • Wolf, S., Simon, J., Patikas, D., et al. (2008). Barefoot vs. Shod Gait in Children: A Comparative Study of Static Balance and Plantar Pressure Distribution. Gait & Posture, 27(1), 51–59.
  • Alloway, R. G., & Alloway, T. P. (2016). The effects of barefoot running on working memory. Perceptual and Motor Skills, 123(2), 558-568.
  • Matsuda, S., Kasuga, K., Hanai, T., & Demura, T. (2018). Cross-Sectional Study Shows Kindergarten Barefoot Policy Positively Affects Soles' Contact Area. Advances in Physical Education, 8(3), 295-307.

 

 

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